オフロードレースというとハードルが高いものを想像してしまうが、実はスクーターさえあれば手軽に参加できるレースが千葉県富津市にある「富津SSランド」で行われている。
スクーターでさえあれば、排気量に関係なく参加できるということで、参加者がみんなで楽しめるイベントだという。果たしてどんなレースなのだろうか?
文・写真/池之平昌信
■初めて『原チャリ』に乗った時のあの感動が蘇る!
若いヒトも含め、いわゆる「原チャリ」に乗ったことがある人は多いだろう。筆者も遊園地のゴーカートを除き、高校卒業後に初めて乗ったエンジン駆動の乗り物は友人の50ccのスクーター(ホンダリード50)だった。
スロットルを捻ればどこまでも加速していく快感は、正直に言うと何かが漏れそうになったほどだった。その感動を一生忘れることはない。
そう、そんな「気持ち良さの原点」にバイクの種類、メーカー、ウンチク、排気量マウントなんて関係ない。いけるところまで思い切り右手を捻って駆け抜ければいいのだ。そんなことをまざまざと体感させてくれたのが、今回紹介する「スクータークロス」である。
スクータークロスとはその名のとおり、足を揃えて乗るタイプのバイクでオフロードを走るレースだ。細かい規則はなく、排気量も自由。
50ccから大型まで(!)参戦可能だが、ジャンプしたり転倒したり、泥まみれになる可能性もあるので、きれいなバイクはもったいない。不要になった廃車寸前のバイクにオフロードタイヤだけ履かせて出場するのが一番多いスタイルだ。
■スクーターならではの気軽さと楽しさと難しさ
もともとサスペンションのストローク量は小さく、アフターパーツも少ない、ということなどから「そのまま」で出場するチームがほとんど。
コース設定も本格モトクロスのような激しいものではなく、コブやでこぼこ道や土砂の上を「急いで走る」といったレースなので、ノーマルでも充分OKだ。
それにスクーターでやるお遊びレースで「そこまでやるの?」といった改造は、なんとなくやりすぎ感もある。そんなユルい雰囲気のレースイベントであることは事実だ。
そして走り出してしまえば、そりゃもうスリル満点の世界が待っている。コーナー内側に足を突き出して曲がるのはモトクロスと同じだが、なんせバイクの基本であるはずの「ニーグリップ(タンクを両膝で挟んで体を安定させること)」ができない。
よって両手でハンドルをつかんで、適度な速度に落としてコーナリングするしかない。
でこぼこ道をハードに走りすぎるとお尻が宙に浮き、身体とバイクが離れていくような感覚に陥る。そうならないようにちょっとだけ中腰の騎乗スタイルを試してみたり……創意工夫と体力次第で上手く走り抜けた時の気持ち良さたるやかなりのものだ。
それでいて速度はそれほど出ているわけではないので、怖くはない。気が付くと背中まで汗びっしょりになって楽しんでいる自分がいた。数人交代で40分間の耐久レースもちょうどよい。こんなに笑って、緊張感も少なく、汗をかいてバイクを楽しめたのも久々だ。
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