山梨県富士吉田市で富士山噴火によって火山灰が道路に積もった場合を想定した走行体験会が開催。火山灰が堆積した道路で、クルマはちゃんと走れるのか?
※本稿は2021年11月のものです
文・撮影/西尾タクト、写真/西尾タクト、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年12月26日号
■最近、また地震が多い……
「いつ起きてもおかしくない」と言われる『南海トラフ地震』。この巨大地震が発生した際には、火山噴火が起こることも危惧されるという。そして、これまた「いつ噴火してもおかしくない」と専門家が指摘している活火山が富士山である。
富士山は、梨っ子(山梨県民)にとって母なる存在。しかし、その富士山がもし噴火したら、山梨県民は自衛手段を講じて「共に生きる」しかないという実情がある。
そこで今回は、富士山噴火を想定し、火山灰が積もった道路でクルマを走らせるにはどんな苦労があるか? という点に焦点を当て、山梨県行政中心の大々的な走行体験会が開催された。
■「火山灰」を知っておこう!
火山砕屑物(さいせつぶつ)とよばれる火山灰は、焚火などの灰とは異なり、鉱物結晶、ガラス結晶を含む粉塵。クルマ好きなら「火山灰がついたクルマを擦ってはいけない」と聞いたことがあるだろう。研磨剤効果で、塗装を傷つけてしまうのである。
また、そんなものが体内に入れば、呼吸器疾患などを引き起こす要因にもなる。そこで、今回のテスト走行では整備をする人々も粉塵対策をし、メディアも充分な距離をとっての撮影が指導された。
■研究機関も注目の走行会
今回の注目ポイントは、上の写真で紹介する走行のみではなく出展ブースにも火山の「権威」たちが大集結していた点にある。
「噴火速報」を定義して発令する内閣府と気象庁。さまざまな災害対策を研究する防災科学技術研究所。そのほか、文部科学省や東京大学と企業の連携による噴火予測や防災研究コーナーもあった。
地震のようなハザードマップが浸透しづらい噴火に対する防災では、道路交通情報などにも連携を促している。
しかし、気象庁による噴火速報以外、降灰予想の道路情報などは正式な「発令」という形に至っておらず、「研究機関による情報提供」という形で発表を行っている。
研究機関による観測や実験に基づく、ステークホルダーとなる行政との連携が、自然災害を乗り越える力「レジリエンス」につながると防災科研は強く訴えている。
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