現行型であるV37スカイラインが登場したのは、2013年11月のこと。すでに9年目に突入した古いモデルだ。スカイラインのみならず、日産のFRセダンは軒並みモデルが古く、フラグシップのシーマは9年目(2012年デビュー)、フーガも12年目(2009年デビュー)にもなるが、どれもモデル更新の話は聞こえてこない。
そんななか、2021年6月、「日産がFR車の開発を中止する」という報道が飛び交った。SNS上などでは大きな反響が集まり、筆者としても「とうとうこの時が来たか…」と残念に思っていたが、報道の2日後に、日産の星野朝子副社長は、「日産自動車は決してスカイラインを諦めません」と否定。
しかしSNS上では、「(諦めないとはいっても)セダンで継続するとはいっていない」「次期型をつくるとはいっていない」など、スカイラインの行く末を案じる投稿が寄せられていた。
これほど熱いファンの多いスカイライン。次期型があるとするならば、どんな姿になるのか、考えてみよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、ベストカー編集部
「スポーツセダン」として登場するかは怪しい
2021年のスカイラインの国内販売台数は2,739台。ライバルたちの販売台数をみても、レクサスISが約1万台、レクサスLSは約4000台というレベルなので、もちろんこれらよりずっと少ない数ではあるが、9年目のモデルとしては、売れているほうであろう。
現行型のスカイラインといえば、405psのV6ツインターボを積んだスカイライン400Rに注目が集まりがちだが、ハンドリング性能、乗り心地、NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)が超優秀でプロパイロット2.0も備わる3.5Lハイブリッドモデルはもちろん、動力性能とシャシーのバランスが良くできていてスカイラインの魅力を存分に味わうことができるベースモデルも魅力的。とくにベースモデルの走りは楽しいと、筆者は思っている。
だが、スカイラインが次期型でも、この手の「スポーツセダン」として登場できるかどうかは怪しい。日産はいま、キックスやノートなどのガソリンモデルの需要が多く見込めるコンパクトモデルにも、ガソリンモデルを用意せず、徹底してe-POWERのみのラインアップとし、電動車メーカーとしてのイメージを確立しようとしている真っ最中。
もし、スカイラインが次期型でも、現行のように大排気量のスポーツセダンとして登場するならば、クリーンなイメージ確立を邪魔する「謀反者」となってしまうからだ。次期型スカイラインでは、少なくとも、プラグインハイブリッド化や、バッテリーEV化などへの変更が求められる。
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