「SUVが人気」といわれる昨今だが、先日新型が登場したノア/ヴォクシー、そしてアルファード/ヴェルファイアなどのミニバンも、依然として人気。いまでこそ、当たり前となった乗用ミニバンジャンルだが、このジャンルを切り拓いた一台は、2020年に販売終了となった「エスティマ」だ。
初代エスティマが登場したのは、1990年5月のこと。その後約30年間で3世代のみというロングライフだったエスティマは、いまも復活を望む声が多いモデル。「天才タマゴ」エスティマの魅力について振り返っていこう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、ベストカー編集部
多人数乗車を、ワンボックスカーではなく乗用車で実現
初代エスティマが登場した1990年当時は、国内販売の1位がカローラ(300,008台)、2位がトヨタマークII(224,868台)、3位がクラウン(205,259台)、4位がカリーナ(175,805台)、5位がコロナ(172,410台)、といった感じで、セダンタイプが全盛期の時代。
それまでも、ハイエースやバネットセレナのような、ファミリー向けの多人数乗り用のハイトワゴンはあったのだが、あくまで商用バンをベースとしたキャブオーバー型のハイトワゴンであり、商業車チックなデザインや、背高ゆえに頼りない走行性能、広くはない車室内の居住性など、ファミリー層にはイマイチ刺さりにくい商品であった。
そこへ初代エスティマが登場。ドライバーの着座高を下げたことで、当時の一般的な乗用車に近い運転姿勢を実現し、流線型のボディスタイリングや、2.4リッター直列4気筒エンジンを横に75度寝かせてフロア下に収め平床化したミッドシップレイアウト、という凝った中身は登場当時大きな話題を集めた。
2列目の独立式シートは180度回転させることができ、3列目と向き合うレイアウトができた。実は、筆者の父もエスティマが好きで、初代エスティマ、そして2代目エスティマと、2世代にわたって乗り継いでおり、小学生当時、2列目シートを回転させて3列目と向かい合って、友達とトランプなどをして遊びながら過ごしていたのを覚えている。
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