2021年6月に発表された、新型300系ランドクルーザー。発表直後から予約注文が殺到したそうで、トヨタによると、いま注文すると、納期はなんと4年後だという。
4年ともなると、その間にマイナーチェンジがあってもおかしくない、というか通常であればマイチェンがあるだろう。フェイスリフトや装備の統廃合、グレード体系の変更など、大掛かりに変更される可能性もある。新車契約後は通常、変更や取り消しはできない(キャンセル料がかかる)が、ただ、4年も待った末にマイチェン前の古い仕様で納車されるのは納得できるものではない。
もし、納期4年の300系ランドクルーザーの納車待ちをしているあいだにマイチェンがあった場合、どうなるのか。いまトヨタ販売サイドが考えている対処方法について、自動車販売に精通する関係者へ取材したので、その様子をお伝えしよう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、写真AC
オートオークションでは、1500万円にも!!
新型300系ランドクルーザーの納期について、トヨタ公式ホームぺージには、「今からご注文いただく際の納期は4年程度となる場合がございます。弊社といたしましては、お客様の納期短縮に向け、最大限の取り組みを実施して参りますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」と記載されている。納期4年というのは、過去に類を見ないほど長い。
投資として発注した顧客はともかく、純粋にランクルが欲しくて注文した顧客が、4年も待たなければならないというのは、なかなかしんどい話。待ちきれず、中古の300系ランクルを定価以上の価格で買う層だって出はじめるだろう。
ちなみに、300系ランクルは、「購入後一定期間は販売(転売)しない誓約」を購入者と約束するそうだが、中古車オートオークションでは、既に「走行距離ゼロ」の300系がすでに流通している。流通価格は1400万円~1500万円、新車価格の2倍近いプレミア価格だ。
無料キャンセルで対応してくれる
お話を伺った販売関係者の方によると、ディーラー営業マンが顧客へ説明する内容は、「詳細な納期は未定」と答えることが多いという。新型300系ランクル発表直後の2021年7月に先行オーダーを入れたお客様の中にも、納期未定という方がまだいるようだ。
半導体不足が解消されれば、納期が大幅に縮まる可能性は高いが、コロナ禍収束の見込みは依然として不透明であり、バックオーダーが大量に溜まっている状態では、納期を明確に回答することは難しいのだろう。「トヨタ本社サイドからお客様へ説明できる情報がはいってこず、非常に苦しい状況にいる」ということを繰り返していた。
通常、フルモデルチェンジやマイナーチェンジの情報が入ると、ディーラーでは、そのモデルを検討中のお客様には「近いうちにモデルチェンジがあるようです」という旨を伝え、承知していただいたうえで、契約を交わす。それ以降の仕様変更は原則することができず、「やっぱり(購入を)やめたい」といった後出しには、「対応しかねる(キャンセル料が発生)」と説明しているようだ。
だが、今回の新型300系ランクルの場合は、これまでのような対応をするわけにもいかないため、現時点では、手付金を返却して「無料キャンセル」する対応を取るという。また、とあるトヨタ車販売店では、「納期未定」と案内を出している300系ランクルをオーダー済のお客様には、マイナーチェンジの情報が出たら、すぐに案内を出し、注文内容の変更をして、マイチェン後の新型へ契約変更できる「特例」も考えているという。
もちろん、マイチェン後の仕様との差額は支払う必要があるだろうが、購入希望者としては、非常に安心できる内容といえるだろう。詳細なプランの内容はまだ決まっていないというが、トヨタ販売関係者も、「お客様とのお付き合いはこの一度きりではない。なにより、お客様の心情を第一に考え、信頼関係を維持することが大切」だと話す。
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「お客様第一主義」のトヨタとしては、納期4年という異常な状況は、なんとしても早期に打開したいところだろう。もちろんコロナ禍の影響がいつまでつづくか、というところに左右される部分ではあるが、トヨタとしては全力で努力しているに違いない。ランクル300の異常な事態がいつまで続くのか、引き続き、調査を続けていく。
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