新型EVの発表や、欧州でのガソリンエンジン開発終了など、ラインナップの電動化を進める日産に衝撃の情報が浮上した!
それは、現在ノートなどで好調なハイブリッドシステム「e-POWER」に集約するため、現在1モーター2クラッチ方式を採用している3.5Lハイブリッド車を廃止するというのだ! そして、その影響を受け、名門シーマが姿を消すことになるという!!
日産ファンとしては「ちょっと待った!」という声が多数寄せられるであろう、最新情報を遠藤徹氏がお届けする。
文/遠藤徹
写真/NISSAN
■e-POWERに集約! 日産がセダン3車種のラインアップを再編へ
日産はこのほど傘下販売店に対して、セダン3車種の商品ラインアップについて2022年3月15日をもって再編する旨を通達したようだ。
スカイライン、フーガ、シーマの3車種は、3.5Lハイブリッド車のモデルを廃止するというもの。同ユニットは1モーター2クラッチ方式のストロングハイブリッドであり、今後、シリーズハイブリッドである「e-POWER」ユニットへの移行、集約を考慮しての対応策と思われる。シーマは同ハイブリッドユニットのみの搭載モデルであるため、これによってモデル自体も廃止となりそうだ。
スカイラインはハイブリッド以外で3Lターボ、フーガは2.5&3.7LガソリンNAの搭載モデルを設定しており、当面はこれらの搭載モデルは継続する見通しだ。3.5Lハイブリッドユニットの後継モデルはシリーズハイブリッドのe-POWERユニットで対応するが、現在、セレナ、ノート、ノートオーラ、キックスに搭載しているユニットは1.2Lのエンジンを発電に使用し、バッテリーに供給、モーターを動かし駆動している。
今後は1.5L(VCターボ)との組み合わせによって、発電量を増やし、モーターやバッテリーの容量をアップすることで、パワフル&静粛性、滑らかな走行性を実現すべく開発を進めているようだ。
これによってスカイライン、フーガの次世代モデルに搭載する方向で電動化に対応する見込みである。ただスカイラインは継続するものの、フーガはモデル廃止となる可能性もある。
日産のセダンラインアップは2021年までにシルフィ、ティアナが生産中止になり、現時点ではこの3車種のみになっている。さらにシーマが廃止になれば2車種に集約される。2022年1月の登録台数はフーガ 36台、シーマ 8台、スカイライン 288台であり、いずれもきわめて少ない状況にある。
一般的には月販500台を下回ると、ペイラインを割り込み、収益が出ず赤字になるといわれる。したがって日産のセダンラインアップは全体で収益が出せず、経営の足かせ状態になっているのが実情だ。
また1モーター2クラッチ方式はこれら3モデルのほか、2Lエンジンとの組み合わせでエクストレイルに積んでいたが、こちらは2021年12月で廃止としている。これに代わるパワーユニットはe-POWERになるが、日産は当面e-POWER搭載車を5車種程度に積む方向で開発を進めている。
現在までセレナ、ノート、キックスに設定しており、あと2車種の予定枠がある。今のところエクストレイル、スカイラインないしはフーガが有力になっている。これらはいずれも従来の1.2Lとの組み合わせではなく、1.5Lに拡大することで、よりパワフル、スムーズ、静粛性を向上させた走りの実現を目指し開発を進めている。
セダン市場はここ数年、縮小の一途にあり、日産だけでなく、トヨタおよびレクサス、ホンダ、マツダの各社が生産、販売するモデルを縮小&集約している。代わってこれらで生じたオープンポイントをカバーしつつあるのはSUVである。
日産が1モーター2クラッチのストロングハイブリッドをやめてe-POWERユニットでカバーすることに成功すれば、日産にとって優位な状況が作り出せる側面もある。
e-POWERユニットはエンジンを発電に使い、バッテリーに供給し、モーターで駆動するシステムであるから、バッテリーとモーターは電気自動車とユニットパーツの共用部分が多く、量産によるコストダウンが図られ、サービス性も優位になるメリットがある。
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