ここのところガソリンの高騰が続いているが、ウクライナ情勢の悪化によって原油価格はさらに値上げが進行している。そして、これは石油由来の樹脂など、すべての製品に大きな影響を及ぼしている。
車関連では、オイルやタイヤなど、石油由来の製品が多くかかわている。今回は値上がりするカー用品を調査した。
文/藤田竜太、写真/ベストカー編集部、古河電池、Adobe Stock(トップ写真=eggeeggjiew@AdobeStock)
■ロシアのウクライナ侵攻が自動車関連に与える影響
2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻をはじめたというニュースが流れた。同時に国際原油市場で、原油の先物価格が一時、1バレル=100ドル台まで上昇。100ドルを上回るのは約7年5か月ぶりだ。
すでにレギュラーガソリンは2月28日の時点で、8週連続の値上がりとなっていて、平均価格は1リットルあたり170円を超えて172円80銭となっているのに、これからさらなる値上げと長期化が予想される。
他にもパン、小麦、冷凍食品、カップ麺、トイレットペーパーも軒並み高騰。合わせて電気代、ガス代、さらには魚や果物といった生鮮食品も、1年前に比べて1割以上が値上がりしている。
また自動車関連では、鋼材やアルミ、銅、樹脂、ロジウム(触媒に使われる貴金属)にも影響が出ていて、原材料価格はそろって上昇中。こうした原油高、ウクライナ情勢の影響で、これから値上がりになると思われるカー用品をチェックしておこう。
■これから値上げされると思われるカー用品
●タイヤ
身近なところではまずはタイヤ。原油、そして天然ゴムをはじめとするタイヤ原材料の値上げが続いている関係で、ブリヂストンは今年4月1日から国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を値上げすることを決定。
タイヤ価格は基本的にオープンプライスになっているが、ブリヂストンでは乗用車・バン用タイヤ(夏/冬)について、平均で7%の値上げ率になるとのこと。
横浜ゴムも4月1日より最大で約9%の値上げの予定で、ダンロップ・ファルケン(住友ゴム)は3月1日から約10%の値上げに。
トーヨータイヤはすでに今年1月から最大で約10%の値上げを実施している。
海外メーカーでも状況は同じで、ミシュランとBFグッドリッチ(日本ミシュラン)もこの春、4月1日から約7~10%の値上げ。
ピレリは今月(2月1日)から乗用車・SUV用の夏タイヤが約5%上がっている。このあとコンチネンタルタイヤも4月1日から約5%の値上げを行う。
というわけで、この春夏用タイヤを新たに購入する予定がある人は、今年度中=3月末までに購入するのがおすすめ。在庫切れになる可能性もあるので、予約だけでも早めに入れておいた方がいいだろう。
●バッテリー
バッテリーも蓄電池の主原料である鉛に加えポリプロピレンなどの石油製品の高騰が続いているのに加え、物流コストも上昇したため、値上げがはじまっている。
古河電池の場合、今年の2月1日出荷分から、市販向け4輪自動車用鉛蓄電池を10%~15%アップ(値上げ率)。
GSユアサも同じく2月1日から、10%以上の値上げ率(自動車用鉛蓄電池)になっている。
●オイル関係
エンジンオイル、ミッションオイル、デフオイルなど、石油製品は原油価格に左右されやすい。エンジンオイル用のベースオイルは、3ヶ月に1度価格改定されるが、2021年の1月以降、ずっと値上がりが続いている。
すでに石油元売り各社のエンジンオイルの卸売価格は過去1年間で50円/L以上値上がりしているとのこと。また添加剤なども原材料不足、値上げになっているので、自動車用各種オイルもこれから本格的に値上げになる可能性が大きい。またすでにギアオイルは不足気味になっている!
●尿素水
これは原油価格とは直接関係はないが、ディーゼルエンジンの排ガス中のNOx削減、浄化するために必要な尿素水=アドブルーが、去年の年末に不足してニュースになった。
尿素は石炭が原料。主要生産国の中国の炭鉱が水害で被災し、中国が尿素の輸出を制限しましたため、尿素を中国からの輸入に頼っていた韓国で尿素水不足が深刻に。
それが日本にも飛火し、一時問題となったが、経済産業省は12月24日、国内生産事業者をはじめとする関係者と連携して対応し、2022年1月中に国内供給量が平時の需要量を上回る見通しになったと発表した。
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このまま原油価格の高騰、ガソリン価格の上昇が続けば、政府が頑なに拒んでいるガソリン税の上乗せ分の課税を停止する、いわゆる「トリガー条項」の発動に踏み切らざるを得ないかもしれない。
だがロシアのウクライナへの軍事侵攻が長期化すれば、カー用品だけでなく、自動車本体や生活必需品もさらなる値上げが避けられないだろう……。
【画像ギャラリー】ウクライナ情勢悪化で原油価格はさらに値上げ!! 影響を受けるカー用品(7枚)画像ギャラリー
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