2021年8月に発表・発売されたランドクルーザー300。だが、月に700台製造されるのに対して、推定受注累計は約3万台、現在の納期は4年以上にも及ぶという。
にも関わらず、なぜユーザーはキャンセルすることなく待ち続けるのか? なぜトヨタは生産が間に合ってないのに受注活動を止めないのか? 通例ランクルの発表の1年後となるランクルプラドはどうなるのか? 流通ジャーナリスト・遠藤徹氏が探る。
文/遠藤 徹、写真/TOYOTA
■サプライヤーからの半導体供給不足により、組み立て台数を増やせず
トヨタが昨年8月2日に発表、発売した「新型ランドクルーザー300」が依然好調な受注推移を見せており、この2月初め現在の納期は4~5年以上となっている。
国内向けの月販計画は700台となっているが、これに対して推定受注累計は約3万台であるから、4年以上待たされることになっている。
ふつうに考えると新型車の受注台数が生産販売計画を大幅に上回るほどの多数に達すると増産し、納期を早めるようにしないとユーザーは待ちきれずにキャンセルが続出し、メーカーや販売店は困ることになる。
ところが、今回のランドクルーザー300は増産できない事態に直面している。サプライヤーからの半導体を中心とした部品の供給が滞り、組み立て台数を増やせない状況にあるのだ。販売店の受注活動自粛で調整すればよいのだが、これをすると販売の勢いがそがれる。
そうなるとダメージが大きくなるために受注活動を続けているので、余計に納車が先送り状態になっているのである。メーカーのトヨタでは1台でも多く生産するため、やりくりして部品の供給を正常化すべく努力している状況なのである。
■リセールバリューも魅力。すべてが新しくなったランクル300
一般的には新車を成約するとおおよその生産予定と納期が提示される。4年以上の待ちとなれば、車検の時期が来てしまうので、車検を取り直しせざるを得なくなる。あまり待ち期間が長くなると待ちきれず、キャンセルしほかの車種に切り替えることになる。
ところが、今回のランドクルーザー300の場合は我慢して待っているケースがほとんどとなっている。現在までのところ多くが歴代ランドクルーザーの既納ユーザーで占められている。
ランドクルーザー300の人気の高さはトヨタの新しいクルマづくりの考え方である「TNGA」による新開発のプラットフォームを採用、クォリティアップ、一段と磨きをかけた高い走破性を実現したフルタイム4WD、最新のデバイスを盛り込んだ安心、安全パッケージの「トヨタセーフティセンス」、高いリセールバリューなどが上げられる。
このうちの高いリセールバリューは残価設定クレジットで支払いを組んだ際の残存価値で示される。例えば3年後だと67%、5年後は54%となっており、クラウンよりも15ポイント以上も上回っている。
また、ランクル300のリセール価値はこれだけではない。どういうルートで流れているのか明確ではないが、早くも中古車オークションで現行モデルが出品されている。
最上級のGRスポーツ(車両本体価格770万円)が80万円強のオプション&付属品を装着したフル装備状態で、1500万円程度の落札でプレミアム価格がつけられたという情報もある。現行の新車に対して600万円ものプレミアムがついたことになる。
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