5月12日の業者オークションには6台の新型ランドクルーザーが出品され、最高額は2200万円で落札されていた。また大手中古車情報サイトには走行距離5kmの2985万円、総額3000万円というランドクルーザーZXをはじめ、6台も掲載されていた。
あれ? たしか新型ランドクルーザー300を購入する際には、転売防止策があったはずだが、もはや効果なしなのか? 現在、新型ランドクルーザーの転売状況はどうなっているのか、モータージャーナリストの加藤久美子氏が追った!
文/加藤久美子
写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ
■5月12日の業者オークション。最高額は2200万円超
今年2月以降、ランドクルーザー300が続々と業者オークションに出品されている。中古車市場でも販売が始まっており、その価格は1700万~1800万円前後が中心だ。
5月12日に開催された業者オークションではなんと6台のランクル300が出品され最高額は2200万円以上で落札されている。
走行距離わずか数キロなので納車されて殆ど、いや全く乗っていないのだろう。転売する気満々で注文し、納車されてすぐに転売したと思われる。
グレードはZX7人乗りだ。外装も内装も最高評価である。要するに新車同様だ。
これらのランクルはどこから来たのか? どういう流れで中古車にて販売されているのだろうか?
というのも、ランクル300と言えば購入時に1年間は転売しないことを誓う「誓約書」を書くことになっており、誓約を破って転売した場合は、「今後、生涯にわたってトヨタ販売店から新車のトヨタ車を購入することはできない」などのペナルティが課せられる。
ランクル300が発売されたのは2021年8月だから当然どのクルマもまだ1年経過していない。誓約書に記された「転売不可」の期間である(転売不可期間を6か月としているディーラーもごく少数ある)。
もちろん、「お金儲け」のため以外に、やむを得ない事情があった可能性もある。納車されたは良いが購入者が不慮の事故でクルマに乗れなくなってしまったり、経済的な事情で売却せざるを得なくなったり、などのケースもあるだろう。
なお、一部のトヨタ販売店ではローンか現金一括かに関わらず、その販売店で購入したランクルに対して(ディーラーと長年の取引があり信頼できる顧客など除く)最低1年以上、所有者名義をディーラーにする措置をとっている。
購入客に「協力を求める」という形にしているようだが、実際の誓約書を見ると、「最低1年間はディーラーに所有権をつける」ことは半強制のような文言で記されている。
「転売しないのなら(現金一括購入でも)別にディーラー名義で良くない?」などと思う人もいるかもしれないが、現金一括で購入したのに自分の所有ではなくディーラーの所有になっていることはかなり異常な状況だ。
営業マン個人によって勝手に売却されても文句は言えない。もっとも、トヨタ自動車がバックについていれば万が一、不祥事が起きたとしてもしっかりと損害賠償を受けることはできるだろうが…。
実際過去に大手自動車ディーラーで客のクルマを勝手に売却して利益を得て逃亡…等の事件は数多く存在する。
これまでオークション等の落札価格は1200万~2200万円超。それだけの価値がある自分の資産がディーラーの支配下にあるということを十分に理解した上で誓約書にサインすべし。
とある中古車販売業者が語る。
「もはや誓約書の効力はなくなってしまったのでしょうかね。今日は6台も出品されていました。私も買っておけばよかったかなと思いますが、ランクルは転売できないとのことだったので、買っても持て余すなぁと考えてやめました。
早々とランクル300を入手し儲けているのはGRスープラで失敗したクルマ屋さんたちですよ。スープラは予想に反して全く価格が高騰しませんでしたから。
最高額での落札は2200万円超ですから。新車で買って納車されてすぐに転売すれば1000万円以上の利益は確実だったでしょう」。
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