中国市場向けの新型エクストレイルが、2021年4月の上海モーターショーで発表されてから早1年以上が経とうとしている。日本仕様向けの新型エクストレイルはどうなっているのか!? と思っている読者も多いことだろう。
そんな新型エクストレイルだが、ここにきてすでに日産販売店で社内研修がスタートしているとの情報が入ってきた。
ハリアー、RAV4などのライバルが好調のSUV市場において、日産としても成功させること義務づけられたモデルであるエクストレイル。日本向けにどのような仕様が送り込まれるのかなど、ここまでわかっている最新情報をお届けしたい。
文/遠藤徹
写真/NISSAN
■e-POWER搭載で生まれ変わったエクストレイル! 先祖返りでよりタフさを強調!
日産は新型エクストレイルを2022年7月20日発表、発売する方向でスケジュール調整をしている模様である。
つい最近までは6月下旬の発表、7月上旬あたりの発売を予定していたが、サプライヤーからの半導体を中心とした部品供給の遅れが解消されておらず、さらに先送りとなったようだ。
日産販売店筋によると「本来は2021年9月頃を予定していたのを2022年1月に先送りするといったように、たびたび先延ばしてきたようだ。」とコメントしている。
次期型エクストレイルは三菱自動車の現行アウトランダーとプラットフォーム、ボディパネルの一部、パワーユニットを除く基本コンポーネントを共用した姉妹車となる。
コンセプト的にはアウトランダーがシティ走行色の強いクロスオーバーSUVなのに対して新型エクストレイルは従来モデルの延長線上でラフロード色に振ったSUV仕立てとなる。従来モデルよりもひと回りサイズアップし上級シフトする。
ボディサイズは全長4710×全幅1860×全高1745mmで、現行モデルの4690×1820×1740mmに比べて、それぞれプラス20×40×5mm拡大している。ホイールベースは2705mmと同じでトレッドは前1595mm、後1600mmで25~30mm拡大している。
ワイドな全幅とトレッドのレイアウトに変更することで、走行安定性とラフロードでの走破性を一段と高めるのが狙いとなっている。また室内空間も拡大できるので、居住&荷室スペースもたっぷりと取っている。
これまでは2列シート5人乗りと3列シート7人乗りの2仕様を設定していたが、次期型では当面2列シート5人乗りのみで登場する。
エクステリアデザインは従来モデルに比べるとやや角張った仕立てが特徴。人気の高かった前々モデルに戻した感じになる。
フロントマスクは従来のVモーションのメタルグリルをやめて、現行の電気自動車「アリア」や軽自動車ベースのEV「サクラ」のように近未来的な顔立ちで仕立てる。今後の日産における新型車はこうしたフロントマスクで統一することが伺える。
パワーユニットは従来モデルの2LガソリンNA、2Lハイブリッド(1モーター)から新開発の1.5Lターボe-POWERに切り替える。
現行モデルのノート、ノートオーラ、セレナ、キックスでは発電に1.2Lのガソリンユニットを搭載しているが、これを新開発の1.5Lターボに排気量を拡大することで、発電量を多くしてモーターや二次バッテリーの容量を拡大、性能向上と同時に静粛性や燃費を向上させる。
従来の1モーターハイブリッドはWLTCモード燃費が2WDで15.0km/L、4WDで13.8km/Lだった。これを新型ではe-POWERへの切り替えで20km/Lレベルに向上させることが可能になっている。
1年後には三菱自動車からのユニット供給でPHEV車が設定される。アウトランダーと同じ2.4Lで4WDとの組み合わせになりそうだ。
駆動方式は4WD、2WD、トランスミッションは従来のCVTから電気式に切り替えられる。7月20日の発表では両駆動方式とも商品内容が明らかになるが、発売はメインの4WDが9月、2WDは2カ月後の11月の投入とずらす見通しとなっていたのが、7月20日の発表、発売に変更したという。
装備面では安全、利便性ともさらに進化、充実向上させる。日産得意の自動運転システムであるプロパイロット、自動ブレーキの検知機能、プリクラッシュセーフティなど最新デバイスが標準ないしはオプション設定される。
上級シフト、安全対策強化、利便性、性能の向上などによるコストアップ車両本体価格は従来モデルに比べて50万円以上の値上がりとなりそうだ。
月販目標は5000台程度が目標となる。対抗モデルとして上げられるのはトヨタ RAV4、スバル フォレスター、マツダ CX-5などで同クラスの4WD車が軸となる。かつてのように同クラスのトップブランドを再び目指すことになるだろう。
日産にとってエクストレイルはノート、セレナに次ぐ重要な登録車の戦略モデルであるが、ここ数年はモデルの陳腐化で販売が低迷している。新型車の投入で日産登録車全体のシェア復活に期待がかかっている状況にある。
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