三菱 デリカD:5といえばミニバンとSUVのいいトコ取りをしたモデルで、唯一無二のクルマといっても過言ではない。だって直接的なライバルは不在で、いわば孤高の存在といっても過言ではないのだ。だからこそ根強いファンも多く、長らく三菱でもっとも売れているモデルに輝いているのだ。
ところが、だ。2022年5月の販売実績を見ると、新型アウトランダーPHEVが1位に! 納車まで1年程度といわれるほどの人気を獲得しているが、この流れは今後も続くのか!? それとも今のうちだけ? 一体これから三菱はどうなる!?
文/永田恵一、写真/MITSUBISHI、ベストカー編集部
■新型モデルが絶好調! もはや看板モデルはデリカだけにあらず
昨年12月に新型アウトランダーPHEVがデビューするまで、三菱自動車で販売が好調だったのはデリカD:5だけであった。ちなみに今年1~5月までの販売台数は6910台を売り上げている。
しかし新型アウトランダーPHEVは1000台という月間販売台数目標に対し、今年1~5月までに6859台を販売。そのうえ納期は現在1年と絶好調で、三菱自動車の一番人気となりつつあるのだ。
また、6月に発売された日産 新型サクラの兄弟車となる軽EVのeKクロスEVも、5月に先行予約を開始して以来850台の月間販売台数目標に対し1ヶ月でその4倍となる約3400台を受注し、こちらも好調。今回は2台が好調な理由と、三菱自動車の今後の展望を考えてみた。
結論から書くと、2台が好調なのは強い魅力と高い商品力を持つからという簡単な理由である。
■内容考えればバーゲンプライス! アウトランダーが売れるのは納得
まずアウトランダーは先代モデルからSUVのプラグインハイブリッドということで、普段はEVとして使えるだけでなく、エンジン直結モード付2モーターシリーズハイブリッドの高い静粛性とスムースさ、前後モーター駆動による4WD性能の高さ、給電機能を備える点など、万能なクルマだった。
しかし、日本ではモデルサイクル中盤にあった燃費不正などにより三菱自動車のブランドイメージが低下していたこともあり、販売はクルマの実力、魅力にまったく届いていなかったのが正直なところ。それが新型アウトランダーでは先代モデルの魅力がすべてグレードアップされているのだ。
現行アウトランダーが使う、日産・三菱・ルノーアライアンスにおいて日産が開発したCMF C/Dプラットホームは車重が2トンを超える新型アウトランダーにも十分余裕があり、ハンドル操作に対する正確性。乗り心地やブレーキ性能など、すべてが劇的に向上。
また、7つの走行モードがある4WD性能も洗練され、動力性能もRAV4やレクサスNXのようなパワー型のプラグインハイブリッドではないものの、動力性能と燃費のバランスは上々な上に一層静かかつスムースとなった。
そして走行用バッテリーは先代後期の1.5倍近い20kwhに増やされ、EV走行可能距離は最上級グレードのPで85kmに延長された。
迫力あるフロントマスクを持つエクステリアに加え、インテリアも欧州プレミアムブランドと間違えるほどゴージャスなものとなった。さらに主力グレードは補助的なものながら3列目シートを持つ7人乗りと、全体的により万能なクルマとなった。
それでいて価格は売れ筋となっているPグレードで532万0700円と内容に対しリーズナブルなのに加え、プラグインハイブリッドなので国からの補助金が55万円となる。制限があるために慌てて注文する人が多いもよく分かる。
つまり、これだけの魅力とフルモデルチェンジによるエクステリアをはじめとしたインパクトがあれば売れるのも当然だ。また、現在の納期が1年掛かるだけに人気車だけに、ようやく軌道に乗ったアウトランダーは今後もデリカD:5と並ぶ日本における三菱自動車の柱として堅調に売れ続けるだろう。
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