先日、マンション敷地内の駐車場に普段停めている筆者のクルマ(1998年初度登録アルファスパイダー)のワイパーに「現金! 高価買取します」のチラシが挟まれていた。ちなみに今のマンションに住んで20年以上が経過しており、アルファスパイダーも同じ場所にとめてきたが、ワイパーにチラシを挟まれたのは初めてのことである。
文/加藤久美子、写真/加藤ヒロト、AdobeStock(アイキャッチ写真は@naka)
■「高価買取」の名刺やチラシが挟まれたら?
周囲を見ても他のクルマのワイパーには挟まれていない。アルファスパイダーは旧車ではあるものの、到底盗難のターゲットになるような人気車種ではない。とても不思議に思っていたが、もしかしたらいつもと違う区画にとめていたことが関係しているかも?
というのも、チラシを挟まれたときに停めていた場所は、普段なら1990年代のトヨタ車がとまっている場所である。もともとはそのクルマにチラシを挟もうとしたのかもしれない。防犯カメラの死角となっている場所で盗みやすい。価格が高騰気味であるのは確かだ。駐車場の所在地と駐車番号だけを指示されて間違えて(?)そこにとめてあったアルファスパイダーにチラシを挟んだ可能性もある。
高価買取の名刺やチラシがクルマのワイパーに挟まっている光景はよく見る。実際に挟まれた経験を持つ人もいるだろう。
これらのチラシを見てみると……、テンプレートでもあるのだろうか。だいたい似たような文言が並んでいる。
「このお車を売却する予定がございましたら、ぜひ当社にて…」
「現金にて高価買い取ります」
「古物商許可番号 第45294000…」
「24時間受付」
「事故車、不動車、排ガス規制車なども買取します」
「相場は変動します。お早めに」
「フリーダイヤルの番号と携帯電話の番号」
「代表者名」(記されていない場合も多いが記されている場合の名前は外国人名(モハマド等)が多い)
だいたいこのようなことが書いてある。これに、建機やフォークリフト、トラック、ワンボックスなどの写真やイラストが記載されている。
ところで「高価買取」のチラシを入れた会社は本当に存在しているのか? とは挟まれた人ならだれもが気になることだろう。結論から書くと、
(1)実在しており中古車買い取りや販売、輸出を行っている
(2)実在しておらず、電話番号も古物商許可番号もでたらめ。ほぼ盗難目的
大きくわけてこの2つとなる。普通に考えれば(1)は実在する事業者だから安心、(2)は架空の会社怪しい、となるのだろうが、実は実在していても盗難に関わる業者である可能性もある。
以下は、茨城県に住むYさんのケースである。
ある日『××トレーディング』と書かれた買取チラシがワイパーに挟まれていた。Yさんの家は戸建てで駐車場も敷地内のカーポート内におさまっている。
「買取チラシが入っていたら盗難に注意!」というのはニュースで読んだことがある。だけど、自宅敷地内なんだから盗まれるはずはない。そう思っていたYさんだったが、ある日事件は起きた。
深夜、Yさん宅の駐車場から愛車の80スープラが盗まれようとしているところに、たまたまクルマに乗った地元の友人が通りがかった。
人影が気になり、戻ってみたところ大柄な男性二人がYさんのクルマの周りで何かしている。すぐに110番通報したが警察が来る前に逃げられてしまった。しかし、首謀者は外国人で、まさにチラシを挟んでいった××トレーディングの経営者だった。
Yさんからの情報提供を受けた際、住所を見たら筆者が仕事でよく訪れる場所にとても近かった。そこで本当にこの会社が実在するのか、チラシに記されていた住所をたどっていくと…実在していた! 古いマンションの一室という感じで看板(?)も紙に印刷されたもので、内容もチラシとほぼ同じであった。
つまり、実在している買い取り業者で事業の実績があったとしても盗みを働くこともあるということ。「怪しい会社があります!」という程度では警察も動いてはくれないので、チラシが挟まれたら自分で注意するべし。
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