シビックが発売から2022年で50周年を迎える。半世紀にわたってまさに「シビック=市民」の足として日本、いや世界を代表する車種に成長したシビック。ホンダが一貫してきた「質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす」のコンセプトのもと、50年という歴史は重みのあるものだろう。
2022年7月からホンダ本社がある東京青山のウェルカムプラザ青山では「シビック50周年記念展示」を実施している。展示を見ながら感じたシビックのこれまでとこれからに触れます。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、HONDA
■威風堂々!? 11代目シビックの歩む道
編集担当自身も実はシビックオーナーとしてEK9、FK2のタイプRを所有していた過去がある。テンロクNAの脳天まで突き抜ける超高回転エンジンのEK9、2リッターターボで300psをFFで御するFK2。
もちろん好みの問題はあるもののどちらも紛うことなきシビック(タイプR)の歴史であり、それ自体を否定することはできない。ただ従来のシビックという車種は先述のホンダの社是にもある「質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす」というコンセプトの象徴のような存在だった。
初代シビックは約42万円。大卒初任給が5.2万円ほどだった1972年では約8カ月のお給料で買えるクルマだった。いっぽうの現行型11代目シビックは319万円スタート。令和元年の大卒初任給が約21万円だから15カ月分のお給料が必要なクルマになってしまった。
安全装備充実など単純に昔のクルマと比較するのはフェアではないが、現実問題として令和のシビックはやや高額なクルマになってしまった。
もちろん現行型シビックは工業製品としての完成度も高く、若い世代にも人気があるデザインもうなずける。ただ初代から守ってきたコンセプトが少しずつ変わってきて、世界戦略車としてのシビックの在り方に未だに戸惑うファンがいるのも事実だ。
50周年展示を見学にきたお客さんの声を聞いていると「大学生の時に親に買ってもらったのがこれでさ……」「お父さんが真っ赤なこれでデートに迎えに来たのよ」などシビックが多くの人生と共に歩いていることを実感できた。
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