2019年8月に兵庫県知事が使用する公用車が、レクサスLSからセンチュリーに変更された。同時に契約された議長車のセンチュリーと合わせて、2台のリース料は月間で約50万円、7年契約で4200万円ともいわれ、物議を醸したのを皆さんは覚えているだろうか。
このほど、兵庫県の知事公用車がアルファードに変わったという。リース契約の違約金を支払っても余りある経費節減効果に、また注目が集まった。
国や地方公共団体で使われる公用車の種類はさまざまだ。ショーファードリブンのセンチュリーが必要なのか、それともアルファードに代表される他の車種でも充分なのか。公用車の在り方について考えていきたい。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、MAZDA、NISSAN
【画像ギャラリー】センチュリーの品格は確かにすごいけど…知事公用車にはアルファードやCX-8で問題なし!!(17枚)画像ギャラリー経費節減効果は800万円越え? センチュリーからアルファードへ切り替えた意味
現在の兵庫県知事は齋藤元彦氏、2021年7月に行われた県知事選挙で初当選した。齋藤氏は、過去に宮城県や大阪府で財政課長を務め、総務省自治税務局でも仕事をしている。お金や地方公共団体の財政には詳しい人だ。選挙時の公約には、前知事が契約したセンチュリーのリース契約を破棄し、公用車を入れ替えることを掲げた。
公約はしっかりと実行され、当選後すぐに公用車の契約について見直しを行う。2022年6月に後継車となるアルファードが納車され、現在は新公用車で公務にあたっている。
兵庫県によると、アルファードのリース契約は7年間。リース料は1台当たり7万9750円/月で、センチュリーの月額24万8400円と比べると、およそ3分の1の費用となる。センチュリーのリース契約は2026年まで残っていたため、解約には清算金240万円がかかったが、それを支払っても、約830万円の経費節減効果があるというのだ。
国や地方公共団体でも、公用車をアルファードにする動きは進んでいる。
知事公用車で最も多いのは、今やミニバン
全国47都道府県の中で、知事公用車にミニバンを選んでいるのは30都道府県を超える。そのなかでもアルファードは人気の車種だ。
公用車には地域の特色も出る。トヨタのお膝元である愛知県の知事公用車はセンチュリー、マツダのある広島ではSUVのCX-8を使用する。また、日産の本社がある神奈川県ではシーマを使用するなど、地元企業の生産するクルマを公用車にする地方公共団体は多い。
知事には、都道府県のためにさまざまな場所へ奔走してもらいたい。だからこそ、疲れず快適に移動できるクルマを使ってほしいという思いはある。こうしたなかで、「移動中も会議などの執務にあたりたい」「SPなども一緒に乗せて少ないクルマの台数で移動したい」という意見が知事本人から出るなど、執務面での希望を叶えられるのは、ミニバンやSUVなのだろう。
総理大臣専用車(海外でいう大統領専用車)のような、装甲の厚い特別仕様にする必要があるなら、セダン一択となりそうだが、都道府県知事の公用車にはそこまでの装備は求められていない。だからこそアルファードで充分という話にもなる。
アルファードの価格幅が広く、エントリーモデルは359万7000円、最上級のハイブリッドエグゼクティブラウンジは759万9000円とその差は約400万円。あとは地方財政の状況に合わせて適したグレードを選べば、最高の仕事ができる公用車は用意できるはずだ。
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