夏休みの自由研究に困ったら都営バス! とは強引すぎかもしれない。だが、地下鉄駅よりもバス停のほうが断然近いスポットもあるのも事実。夏休みならば、と都バスを使ってサクッと自由研究を済ませようではないかとの企画である。提案の場所は憲政記念館。大人の社会科見学としてもおススメできるので親子で乗りバスがオススメだ。
文/写真:小野寺利右
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
バスで巡る夏のスポットは涼しい場所へ
夏休みの自由研究スポットとして、憲政記念館を紹介する。ここは国会議事堂近くに位置しているため、国会議事堂駅や永田町駅があるではないか! と言われそうだが、実は都営バスの停留所が最も近いのだ。
猛暑の中で駅から歩くことを考えれば少しでも近いのはありがたい。最寄りのバスは橋63系統の国会議事堂前で、新橋駅前と小滝橋車庫を市ヶ谷駅前を経由して結んでいる小滝橋営業所の管轄路線である。
今回は新橋駅前2番のりばから乗車。やってきたのはいすゞ エルガのE496。新橋駅前から乗車すると、日本の中枢たる官庁街を抜けて国会議事堂前に至るバスならではの光景を楽しむことができる。地下鉄でこの風景は不可能だからだ。
夏休みの自由研究は題材選びに苦労した覚えがあるはずだ。昨今は自由研究や読書感想文の宿題はないところもあると聞くが、大人の社会科見学にもなるので行って損はない。なにしろ所轄が衆議院なので入場無料で本物に準じた貴重な体験ができる。
そもそも憲政記念館とは?
憲政記念館は、国会議事堂前の国会前庭北地区にあり、1970年にわが国の議会開設80周年記念して設立された。その2年後の1972年に、議会制民主主義についての一般認識を深めるために開館した。
当地の歴史的背景は、江戸時代初めに加藤清正が江戸屋敷を建て、その後は彦根藩の上屋敷になり、幕末には大老の井伊直弼が居住していた。明治に入り陸軍省と参謀本部が置かれた。
昭和27年に衆議院の所管になり、昭和35年に議会政治の父とされる尾崎幸雄を記念した尾崎記念会館が建設され衆議院に寄贈。その後に拡大し現在に至る。後述するが建て替えのため現在は代替施設だ。
憲政記念館は衆議院本会議場を再現!
憲政記念館では受付して案内されると、帝国議会の様子を表した展示から国会議事堂の模型まで常設展示を見ることができる。そして本会議場(の2/3程度のモックアップ)まである。模型とはいっても実際に演壇に立ち、議席に座ることができるので気分は代議士(衆議院議員)だ。
憲政史上に残る大演説をぶってみるのもいいだろうが、聴いてくれる議員がいないので記念撮影にとどめておきたい。ここまでは中学生ならば概ね公民的分野の内容だろうか。
他にも尾崎行雄の功績を記したメモリアルコーナーや、長きにわたる憲政の歴史のコーナーで貴重な資料を見ることができる。常設展示以外の特別展示はホームページでチェックしていただきたい。