NEXCO東日本によると、全国の高速道路において、概ね2日に1回の頻度で「逆走」が発生しているという。逆走したドライバーの年齢は、65歳以上が69%(このうちの48%が75歳以上)だそうだが、逆にいうと、3割は65歳未満のドライバーであり、高齢者以外でも逆走するドライバーがいるということ。逆走はけっして他人事ではない。
最近はレンタカーやカーシェアの増加により、運転に慣れていないドライバーが増えた。ただでさえ夏休みのこの時期は、普段ハンドルを持たない人がロングドライブする傾向がある。逆走は大変危険な行為なので、運転者本人だけでなく、周囲のクルマも含めた安全対応が必要だ。
逆走はどのような場面で発生してしまうのか。逆走が発生しやすいシチュエーションと、見かけたときの対処法をご紹介しよう。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_freehand
写真:Adobe Stock、写真AC/資料:国土交通省
逆走の要因は、「故意」と「過失」の他、「最後まで認識なし」も
想像するだけで怖い「逆走」行為。命にかかわる危険行為だが、冒頭で触れたように、全国の高速道路において、2日に1回という結構な頻度で発生しているという。
国土交通省による調査報告書によると、逆走開始時の認識(故意/過失)を分析した結果(※平成27~28年で発生した逆走事案503件を対象にした調査)、「過失」が43%で「故意」が22%、そして残りの約3割は「最後まで逆走の認識なし」だったという。
こちらも冒頭でも触れたが、逆走事案で最も多い年齢層は、75~79歳の高齢者。免許人口当たりでは、75歳以上で逆走する割合が高く、85歳以上の割合が最も高い。
逆走は、死傷事故となる確率が高い。高速道路での事故全体に比べて約5倍、死亡事故となる割合は約40倍もある。高速道路において、正面からクルマがやってくることは、さすがに想定できない。とっさにハンドルを切るなどで回避できる人は少ないだろう。
本線の他、ランプなどの単路部、料金所付近で多い
逆走開始時の認識のうち、「故意」のケースとしては、道を間違えて戻ろうとした、料金所を出られないと思った(チケット紛失、ETC無し)などがある。逆走開始時の場所としては、高速道路本線やランプなどの単路部が、合わせて5割を占め、高速利用頻度が高い運転者が約4割を占める。また、65歳未満のドライバーが約5割と、高齢ドライバー以外の割合も多い。
また「過失」のケースとしては、積雪などで標識が見えなかった、カーナビの案内を誤認した、出口だと思ったら入り口だった、行き先を勘違いした、など。「ぼーっ」と運転していたら、周りのクルマの流れに反していて逆走に気が付いた、ということもあるようだ。やはり高速道路料金所付近での逆走が多いそうだが、サービスエリアやパーキングエリア付近でも発生しているようだ。高速利用頻度が高い運転者が約4割を占める。
この「過失」のケースへの対策としては、昨今は高速の出入り口や合流付近へ、進行方向を示す矢印や、方向転換を防ぐラバーポールの設置、注意喚起の看板といった対策が強化されている。特に矢印は頻繁に表示されていてわかりやすい。
また「故意」のケースに対しても、目的のインターチェンジを通り過ぎてしまったために、逆走(バック)をして引き返す、というケースを想定した対策が強化されており、近年は料金所付近に、「目的のインターチェンジを通り過ぎてしまった場合は申し出てください(そうすれば、その目的のインターチェンジまでの料金でいいですよ)」というような注意書きが頻繁に掲示されている。
問題なのが、「最後まで逆走の認識なし」のドライバーだ。その主な要因は、「認知症の疑い」があることだという。前述したように、逆走事案の約3割がこのケースであり、このケースに関しては対処が難しく、課題となっているようだ。
コメント
コメントの使い方一般道の逆走の理由上位であろう「通行帯違反常習者のバカが、右左折時にまちがえる」にふれないのはなぜ?
ふだんから通行帯違反で、追いこし車線にはいるのがあたりまえって運転しているから、右左折時に反対車線にまちがえてはいる。
普通に走行車線をはしっていれば、まず間違えることはないでしょ。