2022年7月初めに起きたKDDI(au)の大規模な通信障害が記憶に新しい。
ひと昔前であればネット回線に何が起きようともクルマの走行には支障がなかった。しかし今ではカーナビにインターネット回線を使用する人も多い。ナビでKDDIの回線を使っている人は大きな影響を受けただろう。
「コネクテッドカー時代」の今、通信障害がクルマにもたらす影響、そして今後起きる通信障害の可能性について考えてみる。
※本稿は2022年7月のものです
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(メイン写真=Paylessimages@AdobeStock)
初出/ベストカー2022年8月26日号
■クルマがネットを使う現在、通信障害は大問題!
先日、KDDI(au)の回線が長い時間トラブルを起こした。完全復旧まで86時間かかったというから、自然災害を除き過去最大級の事故といってよかろう。ひと昔前のクルマなら通信網にトラブル出ても問題なし! クルマだけで完結していたからだ。
けれど今や少しずつクルマは通信を使うようになっている。今回最も大きなダメージを受けたのは、アップルカープレイやアンドロイドオートでナビを使っている人だった。回線トラブルに遭遇するとまったく使えなくなってしまう。
若い世代を中心に、今やナビゲーションはグーグル先生にお願いしているケースが多い。到着時間など普通のカーナビを相手にしないくらい正確。
普通のナビだと交通状況や移動速度と関係なく到着時間を表示するものの、グーグル先生ときたら常に最新情報など取り入れた到着推定時間を教えてくれる。ルート選びも素晴らしい! もはや既存のナビは勝負にならない。
だからこそ自動車メーカーもグーグルをベースとしたシステムに切り換えつつあります。
当然ながらクルマとグーグル先生を繋いでいるのは通信網。クルマの場合、携帯電話の電波となる。
KDDIの回線を使っているのなら、今回長い時間にわたり使えなかったことだろう。
今やナビがないと目的地に辿り着けない人も少なくない。
私の知り合いなんか地図が読めないし、ナビがなかった頃からクルマに乗っていた人が持ってる野生のカンといえる「人間GPS」だってなし。道路標識すら情報として使えないようだ。
閑話休題。
ナビくらいなら路頭に迷うくらいで(笑)決定的な危険性などなし!
今後、クルマが自動運転やコネクテッドで通信を使うようになってくると、さまざまな課題が出てくるかもしれない。
例えば現在開発中の5G回線を使った制御。説明するまでもなく5G回線はタイムラグなくリアルタイムでクルマをコントロールできる。
極端な話、無人で敵にミサイルを撃ち込むドローンのような遠隔運転だって簡単。完全自動運転より実現性は高いほど。
国交省が実現しようとしているビーコンによる信号情報(国交省は車載カメラによる赤信号判定を断固として認めない。ビーコン使ったITSに巨額の利権があるためだ)は、ビーコンの連携に通信網を使う。通信網にトラブル出た直後、どうやって安全を確保すべきか大いに悩ましい。
そのほか、自動運転系は基本的に地上局と通信で結び、情報のやりとりをしなければならない。今回もKDDIの通信網を使っていた気象情報など長い時間、使いモノにならず。
通信トラブルは人為的なミスだけで発生するものに限らない。常在的な可能性として太陽フレアがある。
先日、総務省の有識者会議が被害想定の報告書をまとめた。太陽フレアによって地球上の磁気が乱れることで、最悪、携帯電話が2週間、断続的に利用できなくなったりするという。
また、GPS衛星の精度に誤差が生じ、カーナビが正常に機能しなくなるおそれも指摘していた。クルマの達人として知っておくといい。
【画像ギャラリー】通信障害はクルマにもおおいに影響あり!! ネット回線の通信と現代のクルマとの関係を時短チェック!(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方国沢さん、最近のGoogleマップはルート設定時に地図のダウンロードをオススメしてくれますよ。これだと電波がない山奥などでも使えます。よく使うエリアをいくつか設定してあらかじめダウンロードしておくこともできます。