大型二種免許を取得するのに必要な課題の一つに、鋭角コースの通貨というメニューがある。これは3回までの切り返しで通過しなければならないという過酷なもの。現実の路線バスではこのような営業ルートはないだろうが、折り返し地や営業所内、貸切バスでは必要になる運転操作だ。巨大なバスが狭い場所での方向転換なぞ、無理と思われるかもしれないが、そんな鋭角な動きを探ってみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:信州駒ケ根自動車学校
二種免許なら全種で必要な課題
鋭角コースは大型二種だけではなく、中型二種や普通二種でも必要な課題である。ただし車両の大きさが異なるので、免許の種類によりコースの規格は異なる。
共通なのは鋭角の頂点の角度が60度であるということだ。鋭角コースへのアプローチは右からでも左からでも行われる。よってアプローチ方向により有利不利があってはならないので、二等辺三角形になっている。1つの角度が60度の二等辺三角形ということは三角形の内角の和は180度なので、つまり正三角形だ。
コースは大小二つの正三角形を重ねた間の道路を通過する。その道路の幅は大型二種と中型二種では5メートル、普通二種では3.5メートルだ。内側の正三角形の辺の長さは車長以上なので大型二種では11メートル以上である。
そして内輪差を考慮して曲がる頂点の内側の三角形には切込みがあり、その長さは大型二種の場合は1メートルだ。文章で説明してもわかりにくいので、図表を参照していただきたい。
3回以内の切り返しだが…
大型二種のバスの大きさは概ね、全長11メートル、幅2.5メートルだ。一般的な大型路線バスを使用して教習や検定・試験を行う。3回以内の切り返しで通過できればOKだが、現実には1回で通過することは可能だ。
しかし1回で通過してもボーナス加点はない(検定や試験は満点からスタートする減点方式)ので、確実に通過できる3回以内の切り返しで通過すればよい。
まず右折れでも左折れでもとにかく外側いっぱいに車両を寄せる。車幅が2.5メートルで道路幅が5メートルなので、内側に2メートル以上の余裕が生まれる。この余裕を利用して内輪差を吸収しながら曲がる。