2002年、FD3Sの生産終了とともに国産車では姿を消してしまった「リトラクタブル・ヘッドライト(略称リトラ)」。カウンタックにストラトス、スーパーカーブームの頃に憧れた多くのクルマが採用し、当時は子供向け自転車にまで、“リトラ”をウリにした製品があったほど!
もともとは米国の「規格型ヘッドライトの使用義務」(1984年まで)をくぐり抜け、ヘッドライトの高さとくさび形の低いノーズを両立するために考え出されたアイデア。「隠しライト」とも呼んでいたスーパーカーエイジは、変身願望にもつながる、この動的ライトのウインクの洗礼を受けた結果、当時の刷り込み効果でその魅力には抗いがたく、カーデザイナーたちも80〜90年代の国産スポーツカーにこぞってリトラクタブルライトを採用した。
そんな時代を象徴するリトラのクルマをメーカーごとにピックアップしてみよう!
文/藤田竜太、写真/ベストカーWeb編集部、Adobestock(アイキャッチ画像=Евгений Бордовский@Adobestock)
【画像ギャラリー】まだまだあるぜ! リトラクタブルライトの艶姿!(18枚)画像ギャラリートヨタはMR2やセリカに積極採用
トヨタのリトラの歴史は2000GTからはじまるが、トヨタでリトラを普及させたのは、MR2と歴代セリカの2台だろう。
初代MR2(AW11型)は、フィアットX1/9とポンティアック・フィエロとランボルギーニ シルエットを足して3で割ったような結果、角張った無骨なスタイリングになってしまったが、2代目MR2となるSW20型は、リトラクタブルライトを生かした、ミッドシップらしいフォルムに変身。トヨタではそのテーマを「パワーサーフェス(力面形)」と呼んでいて、イタリアンテイスト(フェラーリのディノの影響があったとか?)スタイリングになり、じつにリトラが似合う一台に。
セリカは3代目の後期からリトラを採用(前期はポップアップ式)。流面形の4代目(T160)、5代目のT180までがリトラだったが、印象深いのは2代目セリカXXのA60。
リトラならではのウエッジシェイプそのものの精悍なスタイリングは、空力的にも優れていて、ライト収納時のCD値は0.35。前面投影面積も小さく、最高速も200Km/hオーバーを記録。ロングノーズでブラックアウトのグリルも他車にはない魅力だった。漫画「よろしくメカドック」での活躍を記憶している人もいるだろう。
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