新車購入する際、みなさんは値引き交渉をしていますか? お店で売っている商品には値札がついていて、新車の車両本体価格から値引きしてくれるとは思わなかったと……、知らない人もいるかもしれません。
ではいったいどのくらい値引きしてくれるのでしょうか? 近所のディーラー、少し離れたディーラー、隣の区や市、首都圏、地方など、地域によっても値引き額は変わってくるのでしょうか? また営業マンの交渉の仕方によっても値引き額は変わるのでしょうか?
謎だらけの新車の値引きについて、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が解説します。
文/遠藤徹
写真/Adobe Stock(xiaosan@Adobe Stock)、ベストカーweb編集部
■1台売るとディーラーのマージンはいくら入る?
新車を購入する際の値引き額は極めて複雑な構造になっており、最近、大きな変化がみられる。
自動車メーカーは、正規販売店に対して新車を卸売りし、正規販売店がユーザーに小売販売する。その際に車両本体、メーカーオプションのマージン分と消費税を乗せ小売価格を設定する。
販売店が正規の小売価格を決めて販売するのが基本だが、たいていの場合、メーカーが提示した希望小売価格(サジェッションプライス)をそのまま小売する店頭販売価格として設定するケースがほとんどである。
マージン幅はメーカーによって格差があり、ディーラーのマージンは車両本体価格の15~20%、メーカーオプション&付属品(愛車セットなど)は10%程度といわれている。このマージンが値引き余力となるが、実際はこれだけではない。
販売店で取り付けるディーラーオプション、割賦購入の際の金融機関からのバックマージン、下取り車があればこの分の査定額に対する上乗せの引き取り価格分などもあるので、これらが実質的な値引き額の総額となる。
実際の値引き額は地域、店、購入時期、交渉するユーザーの交渉次第でも大きな差がつく。このため「新車の販売価格はあってないようなもの」といわれている。例えば、車種によって異なるが、新車発売から1年以内のクルマで、車両本体の値引きは3〜7%程度、または一律5万~10万円までという具合だ。当然、不人気車やモデル末期車は、メーカーからのマージンが増えるので、値引き額も増加する。
程度の差こそあれ、昔も今も変わっていないのである。車両本体価格だけをとって見ると、最近になって自動車メーカー各社は販売店のマージン幅を5%程度絞る傾向を強めているという。
しかしながら、総値引き額はそれほど引き締めていない。メーカーやディーラーオプションの走行安全対策、利便性向上などの装備品が増え、この分のマージン20~30%の一部が値引きに振り向けられているからである。
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