■値引き額は販売店、地域によってどれくらい差があるのか?
では新車の値引き額の相場はいくらなのだろうか? 受注開始から新車発売日まではほぼ値引きなしが多く、新車発売日から数ヵ月は営業マンは強気だから車両本体価格の2%~5%、それ以降は5~10%となる。
値引き率の平均は10%が相場。もちろん、100万円台のコンパクトカーと、ミニバン、500万円以上の高級車では値引き率は異なり、高額車ほど値引き率が大きくなる。
発売後2年以上経過しマイナーチェンジモデル前のモデルやモデル末期車、不人気車だと新車からの値引き率は20%を超え、30%を超えることもある。これは車両本体価格からの値引き率だが、これにメーカーオプション、ディーラーオプションの値引き率20%~30%が加算され、さらに下取り車の査定額が上乗せになる。
具体的な値引き額としてコンパクトカーの一例を挙げたい。ナビ、ETC付きのコンパクトカーだと、相場としては新型車(新規やフルモデルチェンジ車)は発売後半年くらいまでは5万~10万円と引き締めているが、半年から1年経過すると15万~20万円に拡大。
その後、1年半から2年経過すると25~30万円に拡大し、2年経過すると一部改良やマイナーチェンジし、10万~15万円にいったん引き締まる。その後、半年刻みで3万~5万円上乗せしていく。5~6年経過でフルモデルチェンジし、最初の新型車に戻るといった傾向がある。
値引き額は販売店によって違うか否かは、地域やメーカー系列店によって格差がある。トヨタは関東地区だと東京と神奈川地区は1本化して「モビリティ」の名称で統合したことによりコンピュータで一元管理しているので、値引き額にほぼ差はない。
例えば、A店とB店は数km離れていても同じ系列店だった場合、見積書を作成する時点で照合され「A店で見積書を取られましたか? 同じ会社なので変わりません」と言われるのは明白。その前に、ショールーム前に停めた愛車のナンバーがコンピュータに打ち込まれ、すぐに分かってしまうのだ(経験談)。
1本化している地域以外は4系列店が別法人を維持しているので、系列店による値引き格差は、これまで通り存在する。
日産系列店以外は扱う車種の1本化は行われているが、別法人であれば値引き格差があり、好条件で買える店舗で選ぶのがおススメといえる。ディーラー検索サイトで、販社が同じかチェックしたい。
最近の新車購入は80%が代替え需要となっている。下取り車の買い取り価格は、店によって異なる場合が多い。トヨタモビリティの同じ法人でも下取り価格に差が生じ、これを実質的な値引きとしているので、店によって異なる場合もある。
当然、各店舗の中古車部の在庫や評価度合が違うケースもある。2022年は年末までにキャンペーンを展開している系列店が多く、中古車の買い取り価格が上昇し、過走行の低年式車などでも5万~10万円の買い取り価格になるケースも珍しくない。
またコロナ禍の影響で新車の納期が大幅に遅れ、代わりに中古車の購入希望が増え、タマ不足になり価格が5年落ちで20~30%も跳ね上がっている。これも実質的な新車値引きを加速させる要因になっている。
各系列販売店のマージン幅はトヨタが最も多く、次いで日産、ホンダ、スバル、マツダ、三菱、ダイハツ、スズキの順になっているが、実際の購入交渉では必ずしもこの通りになっていない。交渉の仕方、下取り車の状況、次期、割賦購入の仕方などによって変わってくるからである。
値引きが大きくなる時期についても2~3月の年度末決算期、6月のボーナス時期、9月の中間決算期、12月のボーナス商戦が挙げられるが、最も値引き額が大きくなるのは年度末決算期となる。こうした時期にはメーカーから報奨金が出るため、キャンペーンを展開し、値引き額が最大瞬間風速で出ることもある。
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