日本国内専用モデルとして、日本の高級車とは何かを追求し続けたクラウン。日本車の「雄」クラウンが、16代目にして海外市場へ挑む。そこで比較対象となるのが、トヨタのもう一つの高級を担う「レクサス」だろう。
「クラウンとレクサス、どちらが上か」という疑問は、レクサスブランドで販売に従事していた筆者はもちろん、数多くのユーザーが口にしていた。しかし、これまで「クラウンは日本のクルマ、レクサスは海外に目を向けたクルマ」と、直接比較するものではないと言わんばかりに、その立ち位置を明言することはなかったのだ。
16代目クラウンのグローバル販売が決まり、やっとクラウンとレクサスが同じ土俵に立ったことになる。クラウンと価格帯の近いレクサスISやNXを軸に、両者のクオリティを比較し、どちらが上かという疑問に答えを出していきたい。
文/佐々木亘、写真/LEXUS、ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】新型クラウンとそのライバルとなるレクサスの質感をギャラリーで見比べる!!(38枚)画像ギャラリーデザインは同等! でも精度はまだレクサスに分がある
実車を見たときのカッコよさ、洗練された感覚は、クラウンもレクサスも同じレベルにある。どちらもアクが強めの意匠となっているが、特に好き嫌いがハッキリと出そうなのはレクサスの方だと筆者は感じる。
クラウンという車名が先行しているため、歴代クラウンのデザインやセダン時代の面影を求める声も多いが、純粋な新型車として見たときに、クラウンクロスオーバーのデザインには、万人受けをしそうな優しさが感じられた。
ただ、細かな部分を見ていくと、クラウンが見劣りする箇所も多い。その一つが、部品成型の精度、そして組み上げの精度だ。
ボンネットパネルとフロントクォーターパネル、前後ドアパネルとリアクォーターパネルを繋ぐ部分の「隙間(チリ)」を見て欲しい。クラウンにはある程度の広い・狭いという許容範囲があるのに対し、レクサスNXやISを見ると、数ミリの隙間の差にも許容がないようだ。
ボディ全体を見たときに、チリの部分も立派なデザインの構成要素だ。ここの精度が高いと、クルマはよりシャープに見える。
エクステリアにおいて、奥深い品質の高さを感じるのはレクサスだった。クラウンの質も高いところにはあるが、国産上級車の域を脱していない。クラウンだったら、もう少し頑張れたのではと感じる部分がエクステリアには残る。
コメント
コメントの使い方