2022年7月、フォルクスワーゲンはクロスオーバーSUV「T-Roc」のマイナーチェンジを発表した。このマイナーチェンジに合わせて刺激的なハイパフォーマンスモデルの「R」も用意された。
Rは2L直4エンジンを搭載し最高出力300psを発揮する。T-Roc唯一の4WDモデルでやや低い車高や19インチホイールなど、見た目もスポーティに仕立てられている。一方で売れ筋のディーゼルモデル「TDI Rライン」はより洗練され扱いやすさが増した。この両モデルに自動車評論家 岡本幸一郎が試乗した。
■VW T-Roc R/TDI Rラインのココが凄い!
・Rに搭載される直4、2Lターボは300ps/40.8kgmと刺激的
・RはT-Roc唯一の4WD仕様。走行モードも多彩
・ディーゼル(TDI Rライン)は素直なトルク特性で扱いやすい人気グレード
※本稿は2022年10月のものです
文/岡本幸一郎、写真/VW、ベストカー編集部 ほか、撮影/茂呂幸正
初出:『ベストカー』2022年11月10日号
■日本で2番目に売れている輸入SUVがマイナーチェンジ
手頃な価格とサイズ、スタイリッシュで実用性も高いT-Rocは、同じフォルクスワーゲンの「T-Cross」に次いで日本で2番目に売れている輸入SUVだ。
そのT-Rocが7月にマイナーチェンジを受けた。その際に追加された最高グレードの「R」と、ディーゼルの「TDI」に試乗した。
「R」のフロントの開口部を広げた専用バンバーや、奥にブルーのブレーキキャリパーが覗く19インチの大径ホイール、やや低められた車高によるスポーティなルックスは、けっして派手すぎず控えめななかにもタダモノではない気配をただよわせている。
リアはディフューザーを備えたバンパーの下に左右計4本出しのマフラーが見える。
インテリアも専用に仕立てられていて、ナッパレザーのスポーツシートのちょっとタイトな着座感も心地よい。「R」ボタンの付いた専用ステアリングホイールも付く。
エンジンは上級モデルのティグアンRと共通の2L直4ターボで、ティグアンより200kgほど軽い車両重量にあわせてエンジン出力が調整されている。
DSGは7速の湿式タイプだ。街中をごく普通に流す時にはいたって乗りやすくて快適なのフォルクスワーゲンの「R」ならでは。
ところが、ワインディングや有料道路などで本領を発揮させると豹変する。
パンチの効いたエンジンは、レッドゾーンの6500rpmまで力強く吹け上がる。
レースモードを選択するとより瞬発力が増すとともに低音が強調されるサウンドの演出もある。DSGの歯切れのよいシフトチェンジも快感だ。
電子制御ダンパー「DCC」の付く足まわりは、「R」らしくひきしまっていてハンドリングも俊敏だ。
T-Rocのなかで唯一の4MOTION搭載車でもある。
ただし、ホイールベースが短いので回頭性が充分に確保できることから、ティグアンRに付くリアアクスルのトルクベクタリング機構は設定されていないのだが、コーナー立ち上がりではリアに駆動力が大きく配分されて上手く押し出してくれるので、弱アンダーステアを維持したままスムーズに曲がっていける。
存在感を増している高性能SUV群のなかでも、コスパという切り口では屈指のクルマに違いない。日本導入を大いに歓迎したい。
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