いよいよダカールラリー2023がスタートした。
日野チームスガワラは、日野自動車の認証不正問題という逆風の中での32回目の参戦となる。日野自動車としては自粛ということで、ダカールラリーのニュースを発信しないが、ここではチームのSNSを元に日野チームスガワラの戦いぶりをフォローしていきたい。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野チームスガワラ
苦しい時に道を繋ぐ参戦意義
今回のダカールラリーは、12月31日にサウジアラビアの北西海岸部にあるヤンブでスタート。
内陸部の都市ハイルへ向かったのち、サウジアラビア南東方向へと進み、エンプティ・クォーター(空白地帯)と呼ばれる地域を通過。そののち北へと向きを変え、1月15日にサウジアラビア東海岸のダンマームでゴールを迎える。
ダカールラリー2023年に参戦するにあたって、日野チームスガワラはこんなメッセージを発している。
「日野自動車が起こした認証不正問題を受け、世間を騒がせ、大変なご迷惑をおかけしています。全国の販売会社様から『メカニックの皆さんにとってダカールラリーに参加することは大きな目標、苦しい時でもなんとか道を繋いで欲しい』等の、ご意見を頂いております。
また、日野チームスガワラの協賛会社様からも『苦しい時こそ、志を掲げる取り組みを小さくても続けるべき』との応援を頂いております。
われわれ日野チームスガワラは、こうした皆様の声に応えるためにも、選手3名、メカニック7名、エンジニア1名、サポート4名、サポートドライバー2名、総勢17名でダカールラリー2023に参戦します」。
スタートの地で車検・人検を無事パスし、プロローグランへ
日野チームスガワラは、例年通りサウジアラビアのトラック販売代理店の TSUSHO JAMJOOM TRADING COMPANY のワークショップでレーストラックとサポートトラックの整備を行なったのち、12月27日にスタート地点のヤンブへ移動。無事、車検、選手の人検をパスした。
12月31日、ダカール2023年大会のスタートセレモニーがヤンブ市郊外で行なわれ、続いて1日の競技出走順を決めるためのプロローグランが実施された。
日野600シリーズでトラック部門に参戦する日野チームスガワラは燃料のガス欠症状に見舞われて思うように走れず、この日の順位はトラック部門54位にとどまった。
日野チームは前大会に続いてハイブリッド機構を搭載した日野600シリーズ1台で参戦。乗員は代表の菅原照仁がステアリングを握り、染宮弘和がナビゲーター、日野自動車社員の望月裕司がメカニックを担当している。
車両は前回の経験を基に車両全体を見直し、サスペンションセッティングを変更。より効果的にエンジントルクを補完するハイブリッド制御によって総合的なポテンシャルを向上させた。3年目のコンビで息の合った乗員の力量も高く、トラック部門の上位入賞を目指す。
今大会では主催者が初の試みとしてスタート地ヤンブ近郊の海岸に「シーキャンプ」と呼ぶビバーク地を設置。参加者は当地でテント生活をしながら車検や書類手続きを行なった。日野チームも28日に入営し、翌29日には車検に問題なく合格。29日、30日には近郊の丘陵で試走を行ない、車両の最終調整に励んできた。
31日にはシーキャンプの海岸沿いに設営されたポディアムでスタートセレモニーが行なわれ、参加者はそれに続いてビバークの周辺で1日の第1ステージの出走順を決めるためのプロローグランに臨んだ。