HV(ハイブリッド車)の普及とEV(電気自動車)の台頭により、肩身が狭くなりつつあるのがガソリンのみを燃料とするいわゆるガソリン車。まだまだ現役とはいえ、将来的には消滅する可能性も考えられるガソリン車だが、HVやEVより優位にある点やガソリン車ならではの魅力も多い。そこで今回は、ガソリン車のメリットと魅力を紹介し、今だからこそ乗っておきたいガソリン車をピックアップしてみた。
文/長谷川 敦、写真/スズキ、スバル、トヨタ、日産、写真AC
ガソリン車のメリットは?
最初に考えたいのはガソリン車のメリットだ。ガソリン車がここまで隆盛を誇ったのには当然ながら理由がある。まずはそこから見ていこう。
●圧倒的な信頼性
ガソリン車の歴史は古く、実用化~普及からすでに100年以上の歳月が経過している。その間技術は磨かれ、現在のガソリン車は登場直後に比べると信じられないほどの進化を遂げている。
出力や燃費などの性能面はもちろんだが、市販車では最も重要なポイントのひとつとも言える信頼性が高いレベルで確立されている。そう、ガソリン車はとにかく“壊れにくい”のだ。近年ではHVやEVの信頼性も急速に進歩しているが、やはりシンプルかつ歴史のあるガソリン車に分があるのは間違いない。
●車体価格の安さ
歴史が長いということは、その間に製造や運用に関する無駄が省かれてコストが下がっていることにもつながる。また、HVよりもシンプルであり、EVのように新しい技術が投入されていないぶんだけガソリン車の販売価格は低くなる。最近では同じ車種でもガソリンとHVの両タイプが用意されていることが多く、たいていの場合、車体価格はガソリン車のほうが低い。
もちろん、低燃費をウリにするHVはガソリン代を抑えることができ、ランニングコストは低くなる。だが、あまり距離を乗らない人の場合、ガソリン代の節約分が、車体価格の差を吸収できないといったケースも考えられる。
また、HVやEVはある程度以上走行すると高価なバッテリー交換が必要になるのに対し、ガソリン車では、そこまで大きな運用コストが生じない。ただし、HV&EVのコストも今後普及が進むにつれて下がってくることが予想される。
●ガソリンを入れれば走れる
当たり前に思うかもしれないが、特にEVに対するガソリン車の優位性はここにある。EVがバッテリーの残量不足で“電欠”を起こしてしまった場合、再走行までに一定時間の充電が必要なことに加え、その場に充電設備がないと話にならない。
しかしガソリン車なら、たとえ立ち往生してしまった場合もガソリンを入れれば再び走り出せる。これは災害時には心強い。将来的に充電施設の拡充や水素ステーションの増設が進めばEV&水素自動車の立ち往生問題も減るはずだが、現状ではガソリン車に明らかなアドバンテージがある。
●ドライブする楽しさ
クルマを単なる移動や運搬のための道具ではなく、ドライブそのものを楽しむモノだと考えると、ガソリン車は魅力的だ。移動のためのドライブだって、それが楽しいほうがいいのは言うまでもない。
HV&EVに比べて軽量なガソリン車は、アクセル操作に対するピックアップが良く、それに伴う排気音の変化が楽しめることに加え、軽い車体が生み出す高い運動性能がドライブの喜びを存分に感じさせてくれる。
これに対して重いバッテリーを積んでいるHV&EVは、スピード面で急速にガソリン車に追いつきつつある(一部のモデルはガソリン車を上回る)ものの、軽快感ではまだガソリン車に及ばない。
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