一度でもミニバンを買い、これに乗ってしまうと次のクルマ選びは難しい。「もう狭いクルマに乗るのは嫌! 次もミニバンに乗りたい」という家族の声で、ミニバンの呪縛から逃れられない世のお父さんも多いだろう。
そんな“ミニバン派”の家族にもオススメなのが、質のいい国産セダンとワゴンだ。
これから紹介する4台は、月販1000台未満と売れてはいない。だが、大人4人が気持ちよくロングドライブを楽しめることに加え、人数分の荷物も積める実用性の高いファミリーカーなのである。発売から時間が経過し、円熟の域に達しているから満足度も高いはずだ。
文:片岡英明/写真:編集部、HONDA
マークX/308台
そのネーミングから分かるようにマークIIの後継セダンだ。パワーユニットも少数派となったV型6気筒エンジンに6速ATの組み合わせである。
プラットフォームやサスペンションなど、メカニズムの多くは2世代前のクラウンのものを用いているから、駆動方式は今や希少となった後輪駆動のFRだ。デビューは2009年の秋で間もなく登場から10年になる。だが、2016年秋にマイナーチェンジを行い、複合剛性を強化するとともにサスペンションにも改良のメスを入れた。
熟成の域に達したマークXは、走りのスポーティ感も高い。FR車ならではの気持ちいいハンドリングと軽快なフットワークを身につけ、操る楽しさは格別だ。また、滑りやすい路面での安心感にこだわる人のために2.5Lモデルには4WDの「250S Four」を設定した。
V型6気筒エンジンは燃費こそ今一歩のレベルだし、ハイブリッドシステムの設定もない。が、高性能だし、パワーフィールも上質だ。快適性は高く、後席でもリラックスできる。
堂々とした押しの強いデザインも魅力だ。インテリアも上質な仕立てで、快適装備と安全装備も充実している。しかも、高級感がある割に買い得な価格設定を打ち出した。「250G」は200万円台から選ぶことができ、4WDモデルもボトムの「Fパッケージ」は300万円以下のリーズナブルな価格設定だ。
実を取る人にはおすすめのプレミアムセダンと言える。
アコードハイブリッド/104台
ホンダを代表するファミリーカーがアコードだ。日本では売れ行きが低迷しているが、北米を中心に海外では高い人気を誇っている。現行モデルは2013年に登場した。
注目したいのは、ハイブリッド専用モデルとなったことだ。2Lの直列4気筒DOHCエンジンに発電用と駆動用、2つのモーターを持つ「i-MMD」を採用し、街中を中心とした走りではほぼモーターだけで走行する。高速走行や急加速ではエンジンがかかるが、モーター走行の領域が広い異次元のEV感覚は新鮮。
2016年5月、大がかりなマイナーチェンジを行い、駆動用のモーターなどをオデッセイの効率の高いものに変更した。充分に電力が蓄えられていればモーター駆動だから滑らかだし、静粛性も群を抜いて高い。
電力を消費してしまったときはエンジンを回して発電し、モーターに電力を供給する。が、そんなときでもEVに近い滑らかなパワーフィールを手に入れた。クルマは重いが、ハンドリングも軽やかだ。乗り心地もいい。
ボディが大柄だから狭い場所での駐車や住宅地の走りは気を遣う。だが、レジェンドと変わらないキャビンスペースだから後席でも気持ちよく座れる。ロングドライブは得意中の得意だ。
最先端のホンダセンシングに加え、光ビーコンを使った信号情報活用運転支援システムも採用するなど、安全装備も充実している。最新モデルはアップルカープレイにも対応するようになった。
ボディの大きさが気にならなければ、検討してみる価値のある環境にやさしいファミリーカーだ。
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