クルマと道路は切っても切り離せないもの。だから全ドライバーはもっと道路について知っておかねばならない。自動車評論家でありながら、交通ジャーナリストでもある清水草一が、毎回、最新の道路情報や、知っておくべき道路の知識をわかりやすく解説する当コーナー。今回は、2020年の陥没事故以降、工事が止まっている東京外環道の近況についてレポートしていく。
文/清水草一、写真/清水草一、TOKYO GAIKAN PROJECT
■報道の「一部区間のみ」とは?
7月7日、最高裁判所は、東京外環道の建設ルートの周辺住民らが、大深度地下トンネル工事の全面差し止めを国やNEXCO東日本などに求めた仮処分申し立てについて、認めない決定を出した。
「えっ、つまり東京外環道は建設できるわけ?」
そのように捉えてしまいそうになるニュースだが、そうではない。この決定は、東京外環道建設の息の根を止めなかったに過ぎず、1ミリも前進させるものではない。
報道では、「工事差し止めの仮処分は一部区間のみにとどまった」とされているが、一部区間とは、東京外環道16kmのうち、南側9kmの本線トンネル部分(東名JCTから井の頭通り付近まで)を指す。
つまり半分以上の区間の工事が差し止められたままだ。半分だろうと一部だろうと、トンネルはつながってこそ機能を発揮するのだから同じことだが、とにかくこのままでは東京外環道は完成しない。
「せめて関越道と中央道をだけでもつながらないか」という声があるが、工事が差し止められている9kmには、中央道と接続する中央JCTも含まれている。
大泉側から発進した本線トンネル北側のシールドマシンは、現在も掘進中だが、その7kmが完成しても、このままなら地中で行き止まりになる。ワインセラーにでも使うしかない。
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