道具である乗り物は年月が経てば入れ替わる運命……それでも中には旧い個体が生え抜きで残ることもある。では都営バスの場合、現役で最古参の車両は何年モノだろうか。
文・写真:中山修一
■頭数の多さで有数のバス事業者
東京都区内を中心に路線バス網を広げている都営バスの車両保有台数は極めて多く、2023年現在で1,400台以上が活躍中だ。
毎年のように新しい車両を導入するのが特徴の事業者でもあり、街中でも新しめの都バス車両をよく見かける。
とはいえ、全ての車両が常に最新というわけではなく、過去に製造・投入された車も少なからず残っている。問題はどれが一番古いのか、というあたりだ。
■それってもう「最近のバス」じゃないの?
都営バスが保有する車両の記録を確かめてみると、籍を入れた年が特に古く、2023年現在で現役を続行中なのは2007年度の車両になるようだ。
車種で言うと、日野自動車製のブルーリボンIIにあたる。この車は2007年に発売され、マイナーチェンジを含めると2015年頃まで製造されていた。
長方形のヘッドライトを左右に1つずつ取り付けた角目2灯の大型路線車で、バリアフリー化推進後の標準仕様ノンステップ車に基づくデザインだ。
パッと見ると「最近の路線バス」然とした印象を抱き、同型車種を使っている事業者も依然多いため、それほど古さを感じさせないものの、時の流れは残酷なほど早いとでも表現すべきか、既にその“最近”が最古参になっているのだ。
次に年式が古い別の車種は、2008年式の日産ディーゼル・スペースランナーの下回りと、西工96MCの車体を合わせた大型路線車だ。
車両としては2006年に発売開始となり、2010年に製造が終了。横並びの角目4灯ヘッドライトが最大の特徴で、今となっては少しレトロな味わいが出ている。
それでも上記のブルーリボンIIより車齢が若いので、現物を見比べると時系列が狂ったような錯覚に襲われるかもしれない。
3番目が2009年式の大型路線車・日野ブルーリボンシティで、なんとハイブリッド。最先端の象徴のように感じたハイブリッド車も、気づけば古参の部類に入る車種が普通に存在しているわけだ。
ハイブリッド仕様のバスとしては、完成形を目指していた年代に作られたもので、バッテリーを収納する屋根上のコブの部分がかなり大きく、自動車というより電気製品としての旧世代的な見た目から古さを連想させる。