勝田貴元選手がラリー・フィンランドで3位に入賞した。1000湖ラリーと呼ばれた時代から、フィンランド人以外は勝てないと言われ、ましてや日本人には手に負えないとされた高速グラベルコースを勝田選手は見事克服。3位表彰台を獲得し、WRC初勝利も夢でないことを世界にアピールした。
文/ベストカーWeb編集部 写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ
■第2の故郷フィンランドで勝田貴元選手が表彰台獲得!
今シーズンの勝田貴元選手はスランプともいえる不調が続き、サファリ・ラリーの4位が最高、攻めの走りに徹し切れていないように見えた。
スタート前に話を聞くと、前戦のラリー・エストニアでは苦しんだことを認めたうえで、「チームメイトのカッレ(ロバンペラ)やエバンスとコーナーごとのタイム差を分析した結果、どこでどうタイムが開いていったかがわかりました。
フィンランドで1日テストしたことで、心身のバランスがよくなっていることを感じています。エストニアの時のセッティングのズレが名古屋市と豊田市(約40㎞)くらいだとしたら今回は長久手市(勝田選手の地元)と豊田市(約15㎞)くらいなので、よくなっていくと思います」と笑わせ、メンタル面を含めて復調していることを感じさせた。
勝田選手にとってフィンランドは第2の故郷。家族でフィンランドに住み、WRCを転戦している。つまりフィンランド・ラリーはホームタウンで戦うラリーで、気持ちに余裕が生まれ、自信を取り戻すきっかけになったことは間違いない。
2日目のSS8でロバンペラ選手がまさかのリタイアを喫した後から、勝田選手は攻めの走りを見せ続けた。勝田選手は今回ワークス登録なのでロバンペラ選手がリタイアしたことで、自身の成績がポイントに加算されることになり、マニュファクチャラーズタイトルを争うヒョンデには負けられない。
そのヒョンデのスニネン選手はフィンランド生まれで、表彰台を争う「2人のフィンランド人」の戦いは地元ファンを大いに喜ばせた。
結局勝田選手は3本のSSでトップタイムの走りをみせるなど、最後まで攻めの走りを見せ3位でフィニッシュ。昨年のラリー・ジャパン以来、通算4度目の表彰台獲得となった。
フィンランドに拠点を置き、テストもフィンランドで行っているとはいえ、高速グラベルコースのラリー・フィンランドで3位表彰台に入ったことは、勝田選手自身が大きな壁を乗り越えたといえるだろう。
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