トヨタがフィンランドで始めた!! もっといいクルマとまちづくり

トヨタがフィンランドで始めた!! もっといいクルマとまちづくり

 モータースポーツにもカーボンニュートラルの取り組みが加速するなか、8月3日トヨタはWRCトヨタチームの活動拠点となっているフィンランドのユバスキュラ市とパートナーシップ構築のための基本合意書を締結した。その狙いとは?

文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ、編集部

■モータースポーツ活動を起点にしたまちづくり

調印を終えた、左からトヨタ・モビリティ基金 早川茂 理事長代行、 豊田章男 理事長、  ユバスキュラ市 ティモ・コイヴィスト 市長、TGR-WRTの 春名雄一郎 CEO
調印を終えた、左からトヨタ・モビリティ基金 早川茂 理事長代行、 豊田章男 理事長、  ユバスキュラ市 ティモ・コイヴィスト 市長、TGR-WRTの 春名雄一郎 CEO

 トヨタはさまざまな自治体とカーボンニュートラルに向けたパートナーシップを結んでいる。日本では福島県や福岡市とパートナーシップを結び水素社会実現に向けた取り組みを加速させている。カーボンニュートラルは自動車会社だけでは実現不可能で、地域の行政や住民の協力が欠かせないからだ。

 フィンランドのユバスキュラ市は首都ヘルシンキから北に約270kmにある人口14万6000人の地方都市だが、WRCラリーフィンランドが開催され、トヨタのWRC チームの活動拠点があることで知られている。

 トヨタはこのユバスキュラ市に新たに東京ドーム133個分という広大な開発センターを作るという。13kmのグラベルコースと7kmのターマックコースを持ち、冬期はスノーのテストもできるという、ラリーカーの開発にはうってつけの場所だ。そして画期的なのは開発に加え、WRCを戦ううえで、チームの移動を含めた活動全体でCO2の排出削減を目指す点だ。どういうことだろう? 

 開発センターの周囲は森に覆われ、もともとCO2の吸収が期待できる。施設は生物多様性の向上や森林保全に留意しつつ、木造建築の積極的な導入に加え、水素による自家発電施設やモビリティを導入するという。さらにWRC参戦時の移動にはFCVなど電動車を積極的に使うことで開発から参戦までの行程でカーボンニュートラルを実現しようというのだ。

東京ドーム133個分という広大なTGR-WRT (WRCトヨタチーム)の新開発センター(イメージ図)
東京ドーム133個分という広大なTGR-WRT (WRCトヨタチーム)の新開発センター(イメージ図)

 モータースポーツではカーボンニュートラル燃料を採用するなど、レギュレーションでCO2の排出を抑えようという取り組みがあるが、車両の開発から参戦までカーボンニュートラルをやってのけようというトヨタの取り組みはユニークで創造的だ。

 その取り組みに協力するのが、ユバスキュラ市であり、TMF(トヨタモビリティ基金)だ。TMFはトヨタが2014年8月に設立した、豊かでサスティナブルな将来に向けての活動をサポートする財団で、新開発センターの建設とユバスキュラの発展に貢献していくという。

 モリゾウさんは、3月の新城ラリーでユバスキュラに新しい開発センターを作る理由をこう教えてくれた。「もっといいくるまづくりのための開発センターというだけでなく、トヨタのWRCチームにとって第2の故郷といえるユバスキュラの皆さんと一緒にカーボンニュートラルにチャレンジをしていきたい。

 これまでトヨタは景気によってモータースポーツを辞めたり、戻ったりしてきました。しかし、これからはユバスキュラでサスティナブルなモータースポーツ活動をやっていきたいと思っています」。

 きっと家族的でプロフェッショナルなWRCトヨタチームの環をユバスキュラという街に広げていきたいという思いがあるのだろう。「モータースポーツ活動を起点にしたまちづくり」ともいえるユニークな挑戦。カーボンニュートラルの先進都市に成長していくであろう、ユバスキュラという地名を覚えていてほしい。

【画像ギャラリー】東京ドーム133個分!! トヨタ第二の故郷フィンランドでカーボンニュートラルに向け発進!(2枚)画像ギャラリー

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