■モリゾウさんのシャンパンファイトは5年ぶり
ラリー・フィンランドでのモリゾウさんは精力的だった。チーム代表代行として、朝6時過ぎにはチームに姿を見せ「おはよう」の声掛けを行い、昼は戦況を見つめ、サービスに戻ってくる選手を励まし、夜はメディア対応もこなすなど、22時過ぎまでチームと同じ時間を過ごした。
「ドライバー・ファースト」を掲げるモリゾウさんらしく、自分が目立ち過ぎないよう気を遣っているようにも見え、チームは「ボス」がずっといるのにリラックスした雰囲気だった。
実はモリゾウさんがWRCの現場に来ると、不思議と勝てなかった。しかし、代表代行として実務を行った今回は見事優勝。モリゾウさんのシャンパンファイトは実に5年ぶり、タナック選手が優勝した2018年のラリー・フィンランド以来だった。
「家庭的でプロフェッショナルなチームを持つことができてうれしい」とモリゾウさんは話すが、エースのロバンペラ選手が2日目にリタイアした後、逆にチームが結束したように見えた。
トップを走るエバンス選手がロバンペラ選手の穴を埋めるように快走を見せ、リタイアしたロバンペラ選手は勝田選手にアドバイスを送り続け、表彰台への力となった。まさに家庭的でプロフェッショナルなチームの強さを見せた。
そして今回3年ぶりにスポットで「現役復帰」したラトバラ選手は、本当にラリーを楽しんでいるようで、スタッフに冗談を言い、チーム代表とは違う立場でチームを明るくしていたことが印象的だった。結果は見事5位完走。
初めて乗るGRヤリス ラリー1をしっかりと乗りこなすあたりはさすがで、経験はチーム代表に復帰する次戦以降、ドライバーへのアドバイスやチーム運営に生かされるはずだ。
ひと回り大きく強くなった勝田選手の次戦以降の走りには注目。そしてラリー・ジャパンがますます楽しみになってきた。
ラリー・フィンランドの結果
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h33m11.3s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +39.1s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m36.7s
4 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m41.0s
5 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +4m09.4s
6 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m33.6s
7 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m03.7s
8 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Fiesta Rally2) +10m37.5s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m11.5s
10アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m35.2s
*タイムはトップとの差
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