2013年の立ち上げから10年の歳月を経て、2023年8月26日に華々しいデビューを飾った宇都宮LRT。電車の営業運転開始にともない、宇都宮周辺の路線バス事情にも大きな変化があったようだ。
文・写真:中山修一
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■まったく新しい路面電車
宇都宮LRT、フルネームで「宇都宮ライトレール 宇都宮芳賀ライトレール線」と称するこの路線は、何もない状態から着手し実現まで至るという、鉄のレールの上を走る現代日本の公共交通機関としては、極めてユニークな経緯で誕生した。
宇都宮といえば観光にも楽しい場所であり、八幡山公園、宇都宮二荒山神社、宇都宮城址公園などなど、JR宇都宮駅を起点にすると駅西口側、地図で見てJR線の線路を境にした左寄りに観光スポットが集中している。
それに対して、今回開業したLRT路線は、どちらかと言えば地元の産業拠点への円滑なアクセスに重点を置いたもので、地図で見て右寄り・駅と線路を挟んだ反対側の東口から東方向にレールが延びている。
宇都宮駅東口〜芳賀・高根沢工業団地間およそ15kmと、LRTとしてはそれなりに長い距離を結んでおり、全区間通しで乗った場合、公式の目安で所要時間は44分くらい。距離に応じて運賃が150〜400円まで変わる。
レールの軌間は1,067mmで、これはJRの殆どの在来線と同じ幅だ。ほかに1,067mm軌間を走る、宇都宮LRTと性質がよく似た日本の路線に、富山地方鉄道の市内電車がある。
■開業翌日から劇的に変わった路線バス網
LRTよりも前に宇都宮駅東口〜東エリアの交通の便を支えていたのは、タクシーを除けば路線バスのみであった。
LRTの営業開始後も路線バスは電車の競合相手となって、そのまま運行を続けるのか注目してみると、やはり大改革が起こっていた。
東エリアのバス運行を受け持つ、関東自動車とジェイアールバス関東の路線のうち、関東自動車で8系統9路線、ジェイアールバス関東で16系統22路線が、2023年8月26日をもって廃止されている。
新設された路線もあり、こちらは関東自動車が2路線、ジェイアールバス関東が2路線、自治体から委託を受けてJRが運行する3路線の、合わせて7路線だ。
8月26日の開業当日、至る所のバス停に廃止/新設の告知が貼り付けられていたのが印象深かった。