ドライバーが運転中に最も目にする車載装備といえば、やはりメーターパネル。かつては、スピードメーターやタコメーター、燃料計などを基本的な情報を提供するのみだった。
しかし、デジタル化が急速に進んだ現在では、あらゆる車両機能の情報が集約され、ドライバーとクルマのコミュニケーションツールへと発展。今では軽乗用車にもインフォメーションディスプレイの搭載は、常識となっている。
急速な発展を遂げるハイテクメーターパネルの中から、大音安弘氏が実際に見て触って驚いたというものを中心に紹介してもらう。
文:大音安弘/写真:アウディ、BMW、マクラーレン、DS、LEXUS
Audi バーチャルコクピット
1995年に登場した現行型アウディTTクーペ。そのインテリアには大きな衝撃を受けた。何しろダッシュボードから液晶モニターを消し去ってしまったのだから……。
決して、現代ではマストとなるナビなどの車載機能が使えなくなったわけではない。大胆にも全てをメーターパネルに集約させてしまったのだ。それが「アウディバーチャルコクピット」だ。
計器情報はもちろんのこと、ナビやオーディオ、車両装備の設定など必要な情報は、全てドライバーの目の前にあるフル液晶メーターパネルに表示できるように。結果、クラシックスポーツのようなシンプルなインパネデザインを復活させた。
メーターのみで完結される純粋なバーチャルコクピットは、TTとR8のみとなっているが、全てのラインアップに展開された結果、新生代アウディを象徴するアイテムのひとつとなっている。まさにメーターの新時代の到来を告げた革新的なアイデアであった。
BMW ライブ・コクピット
2019年デビューの7代目3シリーズに搭載される最新世代のメーターパネルが「BMWライブ・コクピット」だ。12.3インチのフル液晶メーターパネル+10.25インチのワイドタッチスクリーンで構成されるシステムだ。
このメーターパネルの特徴は、外周部にアナログタイプのスピードメーター(左)とタコメーター(左)を常時表示しながら、メーター中央にナビゲーションなどの様々な情報が展開できるようになっていること。
メーター本来の機能を守りながらも、現代に求められるメーターへと発展させているのだ。ただ右回りのスピードメーターに対して、タコメーターは左回りと逆に表示となる点は、やや気になるところ。
またヘッドアップディスプレイを組み合わせることで、メーターパネルを直視せずとも、ドライバーが必要な情報を認識できるのもポイントだ。海外仕様には、従来型のようなアナログ式メーターも存在するが、日本の新世代モデルでは、BMWライブ・コクピットが積極的に展開されていく見込みだ。
McLaren フォールディングドライバーディスプレイ
逆に、目的のために、メーター機能を絞ってしまったものもある。それがマクラーレン720Sで初採用された「フォールディングドライバーディスプレイ」だ。
720Sには、他のスーパーカー同様に多機能なフル液晶メーターパネルが備わるのだが、走行モードを「トラック」に切り替えると、そのメーターパネルが自動的に倒れこみ、なんと、もう一つのメーターが出現するのだ。
これはサーキットなどでスポーツ走行を楽しむ際、ドライバーがコントロールに集中できるように、必要最小限の情報だけを提供するスポーツ専用メーターなのだ。
コンパクトな横長のメーターパネルには、バータイプのタコメーター、デジタルスピードメーター、シフトポジションなどが最小限に留まる。まさに気分はF1ドライバーってとこだろうか。
起動方法については、モード切替だけでなく、専用のボタンでも起動することもできる。スーパースポーツらしいストイックな機能だが、もしオーナーなら、一度は誰かに見せたくなってしまうだろう。
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