先代クラウンとすれ違うと、スポーツセダンっぽくてカッコいいと思ったりしないだろうか。実際、先代クラウンはニュルブルクリンクで鍛えられ、S耐での優勝歴も持つ硬派な1台なのだ。そこで魅力を振り返り、中古価格などを調べてみた!
文/小鮒康一、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部
■当時はあれでも“変わってしまった”と言われた220系クラウン
1955年に初代モデルが登場したクラウンは、現在までその名前が途切れることなく代を重ねており、現在は通算16代目のモデルが販売されている。
そんな16代目クラウンは大変革を実施し、まず市場に投入されたのはセダンとSUVを融合させた「クロスオーバー」は、往年のクラウンファンからは賛否両論が巻き起こることとなった。
今秋には従来通りFRレイアウトを持つ「クラウンセダン」も発売がアナウンスされているが、グローバル化を果たしたことで全幅は1,890mmにまで拡大されるとのことで、あまりの変貌ぶりに愕然としている人も多いかもしれない。そんな変貌ぶりを嘆いている人にとっては、先代の220系をぜひオススメしたいのだ。
2018年6月に登場した15代目クラウンは、その前年に開催された東京モーターショー2017に「クラウン コンセプト」としてその全貌を明らかにした。
このとき発表されたコンセプトモデルはほぼ市販版の姿となっており、コネクティッドカーとなったことなどももちろんだが、先代(14代目)よりもさらに若々しくなったデザインや、シックスライトウインドウを採用したことで、「シックスライトのクラウンなんて……」という声も聞かれたのだった。
■なんとスーパー耐久での優勝歴も!
しかし、当時クラウンのメインユーザーは50~60代と高齢化が進んでおり、30~40代のBMWなどの輸入スポーツセダンを好む層にも訴求するためには若返りは必要不可欠であり、FRレイアウトのスタイルをキープしながらも端正なセダンのフォルムをキープしている先代クラウンを再評価する向きも少なくないのだ。
そして走りの味も新たにTNGAに基づくGA-Lプラットフォームを新たに採用し、クラウンとしては異例のニュルブルクリンクでの走り込みを重ねて鍛え上げた結果、輸入スポーツセダンにも負けない基本性能の高さを身に着けていた。
往年のクラウンのようなゆったりとした乗り味を求めるベテランクラウンユーザーにとっては受け入れがたい変化かもしれないが、現在積極的にセダンボディに乗りたいと考える比較的若い層にはピッタリマッチする味付けとなっている。
そしてパワートレインも、RS系においては2.5Lのハイブリッドのほか、2Lの直噴ターボエンジン、8AR-FTS型を搭載するグレードを設定していたこともトピックだ。
この2Lターボエンジンは14代目モデルの途中からクラウンにラインナップされているものとなるが、220系においては先代より+10PSの245PSを発生し、スポーティな変速が楽しめる8速ATとTNGAプラットフォームの組み合わせで軽快な走りが楽しめるだけでなく、税制面でも有利であることは見逃せないポイントと言えるだろう。
220系クラウンRSのスポーティ度を示すエピソードとしては、埼玉トヨペットGreen Braveがスーパー耐久ST-3クラスへの参戦車両としてこのクラウンRSをチョイスしており(2020~2022年まで)、エンジンももちろんベース車と同じ8AR-FTSがTRDによるチューンが施された状態で搭載されていた。
レースでは大柄なセダンボディをものともせず、同クラスのレクサスRC350やZ34型フェアレディZなどを相手に優勝を複数回マークするなど、確かな実力を兼ね備えていたのである。
なお、市販版では旧型となった220系クラウンではあるが、警察車両でもおなじみの「クラウンパトロールカー」としてはまだまだ現行型となっているため、しばらくは部品の心配もないと言えるだろう。
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