67台が絡む多重事故……修理代は誰が払う!? 実は「共同不法行為」で全員に責任?? 多重衝突事故の保険の仕組みとは

67台が絡む多重事故……修理代は誰が払う!? 実は「共同不法行為」で全員に責任?? 多重衝突事故の保険の仕組みとは

 2025年12月、年の瀬の雪の関越道で起こった67台が絡む多重衝突事故。20名以上が重軽傷を負い死者も出る大惨事となったが、あのような多重事故の場合、責任を負うのは誰なのか? 法律の専門家である弁護士の先生にお話を伺った。

※本稿は2026年1月のものです
文:永岡孝裕(弁護士)/写真:AdobeStock(トップ画像=SKT Studio@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2026年2月26日号

【画像ギャラリー】多重衝突事故は「お互いさま」の連帯責任に!? 複数台が絡む大規模衝突事故の責任の所在は!?(6枚)画像ギャラリー

多重衝突事故での疑問……「賠償責任は誰に?」

2025年末の多重衝突事故のような大規模事故の場合、誰に賠償責任が生じるのだろうか?(SKT Studio@AdobeStock)
2025年末の多重衝突事故のような大規模事故の場合、誰に賠償責任が生じるのだろうか?(SKT Studio@AdobeStock)

 2025年12月26日、関越道で発生した67台の多重衝突事故。火災も起きて被害甚大だったが、賠償責任は誰にあるのだろうか?

法的なルールと実際の解決を専門家が解説

 猛吹雪によるホワイトアウト(視界不良)のなかで起きたこの事故は、ニュース映像を見て「もし自分がここにいたら、壊れたクルマの修理代は誰に請求できるのだろう?」と不安に思った方も多いのではないでしょうか。

 これだけの台数が絡むと話は単純ではありません。法的なルールと、実際の解決までの流れについて詳しく解説します。

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共同不法行為という考え方

 多重玉突き事故やホワイトアウトのなかでは、事故原因を特定することが非常に困難です。こうした場合、民法では共同不法行為というルールが適用される可能性が高いです。

 これは、簡単に言うと「事故に関わった全員(または複数人)が連帯して、被害者の損害を賠償しなさい」という決まりです。被害者救済の観点から、犯人が特定できないから誰も賠償しなくていいとなるのを防ぐため、関与したドライバー同士で責任を分かち合う仕組みになっているのです。

実務上の手続き:保険会社による話し合いでの解決

個人個人が裁判をするのではなく、各ドライバーが加入している損害保険会社が間に入り、会社同士で解決を図るのが一般的な形(Takahiro@AdobeStock)
個人個人が裁判をするのではなく、各ドライバーが加入している損害保険会社が間に入り、会社同士で解決を図るのが一般的な形(Takahiro@AdobeStock)

 とはいえ、67人全員で裁判をするのは現実的ではありません。実際には、各ドライバーが加入している損害保険会社が間に入り、会社同士で協定(話し合い)を結んで解決を図るのが一般的で、この規模の事故では、以下のような処理になるケースが多いです。

(1)自分の保険で直して終わらせるケース

 責任の所在を細かく突き止めるのに何年もかけるより、それぞれが自分の車両保険を使って自分のクルマを修理し、相手への請求をしない(お互い様で済ませる)という解決方法です。これが最も早く解決しますが、車両保険に入っていない方は、修理費が自己負担になってしまいます。

(2)先頭と最後尾の責任

 中間にいたクルマは「ぶつけられた被害」と「ぶつけた加害」が相殺されやすいですが、最初にスリップして道を塞いだクルマや、後ろから突っ込んだクルマは責任が重くなる傾向があります。

 実務上は、ホワイトアウトを理由として完全免責されることは稀であり、車間距離保持義務違反等で過失が認められる可能性が高いです。

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道路管理者や警察に責任は問える?

 この事故の場合、通行止めにするのが遅かった道路会社や誘導を誤った警察官が悪いのでは? と思うかもしれません。

 しかし、明らかなミスがない限り、道路管理者に賠償してもらうのは難しいと考えておくべきです。警察の判断についても、現場の警察官には広い裁量が認められているため、警察(国)の責任を問うには、単なる誘導ミスを超えた重い過失が必要です。

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