歩行者として交差点で信号待ちをしていると、左折していくクルマのドライバーのハンドルさばきをみて、「あ、この人たぶん、あまり運転得意じゃないな」と思ってしまうことがあります。「ハンドル操作なんて、クルマが曲がればいいでしょ」と思う人もいるかもしれませんが、自己流のハンドル操作では、万が一の時に、(回避できる事故を)回避できなかったり、怪我の程度が酷くなったりする可能性も。
事故にまでならなくても、せっかく運転するのですから、下手と思われるよりは上手いと思われたいですよね。「この人、運転下手だな」と思われる運転動作をいくつか取り上げましょう。
文:吉川賢一
写真:Adobe Stock、写真AC、エムスリープロダクション
ハンドルの内側から手を入れて回す「内掛けハンドル」
冒頭の「この人運転あまり得意じゃないな」と思ってしまう運転操作のうち、もっとも頻繁に見かけるのが「内掛けハンドル」です。「内掛けハンドル」とは、ハンドルの輪の内側からから手を入れてハンドルを回す操作のこと。力を入れやすいため、交差点を曲がるときなど、ハンドルをたくさん回す必要があるときに、無意識にやってしまっているドライバーが多いようですが、ハンドルの内側から手を入れてしまうと、とっさに回避しなくてはならない場合に、逆方向へハンドルを切ることが難しくなります。また、万が一エアバッグが作動した際、腕がエアバッグに押し潰されて大怪我する可能性もあります。
力を入れやすい内掛けハンドルは、ハンドルを回す力をアシストしてくれるパワーステアリングが装備されていない時代では、多くのドライバーがやっていたようですが、昨今のクルマでは(パワステが装備されているので)内掛けハンドルをしなければならないほど力が必要なシーンはなく、それよりも、とっさの際に回避ができるような操作をしておくことのほうが重要。内掛けハンドルは、「この人、リスク管理ができていないな」と思われてしまう運転操作なのです。
ハンドルをシュルシュルと戻す「滑らし戻し」
交差点を抜けた後、ハンドルを戻す際にハンドルから少し手を離して「シュルシュル」と戻す「滑らし戻し」も、運転下手だと思われてしまう運転操作です。手を離して戻してしまうと、ハンドルのセンター位置を見失ってしまう(いまどのくらい回っているのかわからなくなる)ことで、とっさに正確なハンドル操作ができなくなるほか、ハンドルの復元力に任せてしまうことで、ハンドルが戻るスピードが一定にならず、交差点などの立ち上がりで、クルマがふらつく原因となってしまいます。
運転が下手な人ほどハンドルから手を離したがります。ハンドルは両手でそっと握り、送りハンドル(腕が交差しないように、手の位置をずらしながら操作する)、もしくはクロスハンドル(左右の腕をクロスさせるようにして持ち替えていく)で戻していくようにしてください。
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