ジャパンモビリティショーの日産ブースの主役ともいえる「ハイパーフォース」。GT-Rっぽいエンブレムや丸テールなど、次期GT-Rの臭いがプンプンする。その真偽を探るべく、デザインをとりまとめた人物に話を聞いてみたぞ!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部
■全固体電池でどんなワクワクが届けられるか?
一般公開が始まり、最初の週末を大盛況で終えたジャパンモビリティショー。その会場の日産ブースでハイパーフォースのお話を伺ったのは、日産自動車グローバルデザイン本部でプログラムデザインダイレクターを務める于立豪(Yu Lihao)さんだ。
Q:はじめにハイパーフォースの狙いを教えてください。
「電動化の時代に、究極のワクワク感をお客様に提供するにはどうするかをターゲットとしました。具体的には3つの要素があります」
「ひとつめはエアロダイナミクス。いかにダウンフォースを強化するかについて、NISMOのスペシャリストとコラボして取り組みました。2つめは『Shaped by Science』つまり『すべての形に意味がある、すべての素材が機能とパフォーマンスに貢献する』ということです。3つめは『Unforgettable Impact』。忘れられないインパクトを持つということです。ワクワクして記憶に残り、一筆描きできるくらいの強い形を追求しました」
Q:やはりGT-Rとの関連性が気になるのですが。
「このクルマはGT-Rではありません。もちろんGT-Rは日産のハイパフォーマンスカー、レーシングレジェンドとしてビッグネームであり、世界中に多くのファンもいて、我々デザイナーとしては憧れています。ただし今回は、2030年前後の日産の先進技術で、どんなドライビングの楽しみをお客様に提供できるかというテーマで作っています」
「日産は「Ambition 2030」という長期ビジョンを持っていますが、その中で全固体電池(ASSB)について、2028年に量産化すると発表しています。それに合わせて、どういうことができるのかという視点から生まれたクルマです」
■EVにSUVが多いのは車高の低いクルマが作りにくいから!
Q:自慢のポイントを教えてください。
「まず全体のプロファイルです。サイドビューからも分かりますがすごい低重心で、地面に張り付くような安定感というのことを、すごいがんばってやりました。面構成はすごいシンプルで、ひと目で分かるということですね。それもASSBのおかげです。今のバッテリーだとそこまで低くできないですね」
Q:ASSBだと薄くできるということですか。
「そうですね。現状のバッテリーに対してASSBは薄く、コンパクトにできて、容量を上げられるというのがいちばん大きなメリットです。造形に対するメリットとしてはクルマが低くできるということになります」
「いま世に出ている電気自動車は、SUVやクロスオーバー、ミニバンが多いですが、その理由のひとつは車体が低くできないからです」
「ASSBを手に入れたことは、我々デザイナーとしても喜びの極みです。そのお陰でもう1回こういうハイパフォーマンスカーがデザインできる。空力が向上させられる。みんなをワクワクさせて、アトラクティブなものが作れるんです。それが今回の一番自慢したいことでしょうか」
Q:確かに空力はすごそうですね。
「アクティブエアロという可動式の空力パーツを数多く搭載しています。たとえばフロントスポイラーにはカナ―ドですね。左に曲がるときには右側のカナードが飛び出して車体を路面に張り付けて、コーナリングスピードを高めることができます」
「ふたつめはフロントフェンダーの上です。これはエアブレーキですね。ブレーキングすると立ちあがって減速に貢献するわけです。リアスポイラーも可動式です、これもNISMOの技術ですね」
「最後に展示車両だと分かりにくいのですが、公開されている動画を見ていただくと、コーナリングのときにフェンダーのエッジが光るのが分かると思います。なぜ光るのかというと、プラズマアクチュエーターという日産独自の技術を使っているのです。プラズマを使ってフェンダーの後ろにできる空気の剥離渦を抑える技術ですね」
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