あおり運転とは、後方から極端に車間距離をつめて威圧したり、理由のないパッシングや急停止をしたり、故意に特定の車両の運転を妨害するような振る舞いをしたりする迷惑行為。
あおり運転はもともと違反行為で処罰の対象だったが、2017年6月の東名高速夫婦死亡事故をきっかけに、問題視されるようになった。
2018年1月からあおり運転の取り締まりが強化され、全国各地であおり運転の摘発件数が増えてきている。
直近では2019年5月17日に関越道でヘリコプターによる、あおり運転の取り締まりが行われ、わずか1時間半で10件検挙したニュースも話題となった。
そこで、あおり運転に遭わないためにはどうすればいいのか? いま一度考えてみた。
また、サンデードライバーのみなさん、知らず知らずのうちに、あおられても仕方のない運転をしていないか、自身の運転を振り返ってはみてはいかがだろうか?
文/高根英幸(自動車テクノロジーライター)
写真/adobe Stock
■あおり運転の取り締まりが2018年1月から大幅に強化
2017年6月に東名高速道路で起きた、あおり運転に始まる高速道路上での危険運転による死亡事故以来、あおり運転が社会問題化している。
そもそもクルマを使って幅寄せしたり、威嚇するような行為をすれば暴行罪に問われることがあることをご存じだろうか。
先を急ぐあまり、無意識に車間距離を詰めてしまう人も多いが、それが前走車ドライバーの怒りを呼び、交通トラブルになったケースも少なくない。
あおり運転の罰則は、暴行罪・車間距離保持義務違反・過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪など、さまざまな罪が適用される可能性がある。どれが適用されるかについては、ケース・バイ・ケースとなる。
それぞれの罰則については、以下のとおり。
●暴行罪…2年以下の懲役または30万円以下の罰金
●車間距離保持義務違反…一般道路では5万円以下の罰金、高速道路では3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
●過失運転致死傷罪…7年以下の懲役または100万円以下の罰金
●危険運転致死傷罪…相手に怪我を負わせた場合は15年以下の懲役、相手を死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役
※東名あおり運転事故は最初の判決が2018年12月に言い渡され、危険運転致死傷罪などの罪に問われ、判決は求刑23年に対し懲役18年。弁護側は控訴した
警察庁は2018年1月、各都道府県公安委員会に「あおり運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処」について通達。
そのなかで、車間距離保持義務違反、急ブレーキ禁止違反、進路変更禁止違反などを「妨害を目的とする運転」としてまとめ、それらの積極的な交通指導取り締まりの推進を指示している。
その後、2018年6月1日から7日までの1週間、初の「あおり運転全国一斉取り締まり」が行われた。
静岡、愛知、京都、三重、佐賀など14府県の警察ではヘリコプターによる上空からの監視も敢行(通常期に行っている場合もある)。その結果、7日間での総検挙数は1296件にのぼった。
検挙数の内訳は「車間距離保持義務違反」が1088件、「追い越し方法違反」が110件、「進路変更禁止違反」が56件。これらを総称して「あおり運転」としているが、やはり「車間距離保持義務違反」が84%でほとんどだった。
2018年の車間距離保持義務違反で摘発された件数(警察庁)を見ると、1万3025件で前年から1.8倍となっていることがわかる。そのうち全体の9割以上は高速道路上の摘発が占めている。
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