【あおり運転を撲滅せよ!】「実はそれ違反です」 あおられない運転とは?

■あおられた側にも原因がある?!

 走行車線よりも追い越し車線の車列が多いことがままある日本の高速道路 。 ちなみに追い越し車線を走り続けると通行区分帯違反となり、普通車、軽自動車は6000円、違反点数は1点
走行車線よりも追い越し車線の車列が多いことがままある日本の高速道路 。 ちなみに追い越し車線を走り続けると通行区分帯違反となり、普通車、軽自動車は6000円、違反点数は1点

 一方であおられた側にも原因があるという論理もある。

 追い越し車線を走行しているのに左側の走行車線を走るクルマよりも遅いスピードで走行しているようなら、周囲の交通を乱していることになり、後述する道路交通法の目的に反することになる。

 当のドライバー本人はまるで気にせずマイペースでドライブを楽しんでいる場合もあるようだが、これは厳密に言えば、道交法違反でもあるし、それ以前に後方のドライバーに対しても配慮する気持ちは持つべきだ。

 追い越し車線を2km以上走行し続けると走行区分帯違反として検挙されることもあるから、一般道でも交通量が多過ぎて左側車線に入れないような場合以外は左側の走行車線を通行するべきだし、車線変更を適度に行なう習慣を身に付けておくといい。

 また、安全のために車間距離を保つことは大事だが、前走車との車間距離は狭過ぎても広過ぎてもいけないのである。

 教習所では走行速度に応じて車間距離を確保するよう教えられたと思うが、車間距離は何mとかクルマ何台分という尺度ではなく、時間で考える方が合理的だ。

 時間カウント方式と呼ばれる車間距離の確認方法で、欧州では速度に関わらず車間の空間を通過する時間を2秒という考えが浸透している。

 これは前方の危険を認知、判断してブレーキペダルを踏むまでに1秒弱、そして残りの1秒強でクルマが十分に速度を落とせるために、たとえ衝突しても被害は少ないというのが、根拠にある。

 それに一般道なら2秒あれば前走車が急停止しても、ぶつからずに止まれることが多い。

 筆者は企業向けのドライバー講習を行う企業でチーフインストラクターを務めているが、ペーパードライバーなど、運転に不慣れな方を教習する場合は、初心者マークをクルマの後部にだけ貼り付けて運転してもらうこともある。

 これは後続ドライバーがイライラするのを減らす効果を狙ってのものだが、煽られたり車間距離が詰まり過ぎて危険な思いをしたことはないから、効果がある対策と判断していい。

 運転に自信がないドライバーは、初心者ではなくても初心者マークを後部にだけは貼っておくことをお勧めする。

■道路交通法の目的を知って、安全で円滑な交通を実現する運転を目指そう

 道路交通法の基本原則をご存知だろうか。昭和35年に制定された第一条は「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」とされている。

 だから厳密に言えば、走行車線をのんびりと制限速度以下で走っていて、後続車が詰まってしまうような行為にも罰則は存在する。追い付かれたら左側に寄って、追い越ししやすいように努力するべきなのだ。

 こう書いていても残念ながら、実際に追い越し車線をのんびり走行するようなドライバーは、こうした情報など目に届くことは少ない。

 新しいクルマの装備や技術、道交法の改正などの新しい情報に関心がなく、実用的な移動手段としてクルマを利用しているドライバーに、そうした周囲に迷惑をかけても気にしない無関心ドライバーは多いものだからだ。

 だから免許の更新時には、たとえ交通違反などの前歴がなくても、こうした最新の交通に関する情報や気を付けるべき行為について、十分に注意喚起を図り、周知を徹底すべきだろう。

 「自分は運転免許を取得しているのだから、公道でクルマを運転する権利がある」と思っているドライバーは多い。

 もし知り合いに、あからさまにそういう気持ちで運転している人がいるならば、絶対に教えてあげてほしい。

 「クルマの運転は、貴方が思っているよりもずっと責任の重い行為なのだ」ということを。

 運転免許を取得している、ということは、法令改正があったとしても、その内容をキチンと理解していることが求められる。

 自分が免許を取得した時には存在しなかった罰則やルールがあれば、それに抵触して交通事故やトラブルが起こったとなれば「知らなかった」では済まされないのだ。

 また交通違反に問われなければいい、という問題ではない。前述の道交法第一条にあるように警察も交通が安全かつ円滑になることを目的に取り締まりを行なっているから、軽微な違反をその都度取り締まってはいない。

 けれども、その行為が原因で交通事故が起これば、その責任は間違いなくドライバーに科せられる。法律とはそういうためにも制定されているものなのだ。

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