2023年3月にフルモデルチェンジしたいすゞ自動車の小型トラック、新型「エルフ」のディーゼルモデルとバッテリーEVモデルを乗り比べ!! 気になるバッテリーEVモデルの走りに注目だ!!
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/いすゞ自動車、「フルロード」編集部
試乗車は2台とも「ハイキャブ」車
今回試乗した新型エルフは、平ボディ架装のディーゼル車とドライバン架装のEVの2台。キャブは2台とも、コンビニ配送やレンタカーで身近な存在である「ハイキャブ」車だ。
ハイキャブは、1ナンバー(普通貨物車)登録を前提として、ワイドキャブよりも取り回しやすく、かつ標準キャブより室内がゆったりとした幅1770mmキャブで、16年前にデビューした先代エルフで初導入され、またたく間に試乗で普及した。
新型エルフのハイキャブは、キャブプラットフォームを先代からキャリーオーバーしながら、フロントマスクのデザインを一新。内装はダッシュボードを一新し、ドライバーの膝周りのスペースを拡大するとともに、衝突時におけるキャブ骨格と脚部の接触を極力回避する設計としたのがポイントだ。
なお、新型エルフの主要なキャブバリエーションとしては、幅1695mmの標準キャブ、1770mmのハイキャブ、1995mmのワイドキャブの3タイプが設定されている。
新開発DCTを採用したディーゼル車の走り
ディーゼル車の試乗車は、GVW6トン、最大積載量3000kg、ロングボディ、高床、150PS、9速DCT、アイドリングストップ&スタート機能付きの「2TG-NMR88AC-HJ5AA-D」。荷台には1.5トンのダミーウェイトを積んでいた。
ディーゼル車は、平成28年排出ガス規制適合の2999cc直噴ディーゼルエンジン「4JZ1-TCS」型は従来と変わらないが、組み合わせられるトランスミッションは新開発の9速デュアルクラッチ付き機械式自動変速機「ISIM(アイシム)」となったのが最大の特徴。
低回転トルクをしっかり確保しながらきれいに上まで回る4JZ1と、早めのシフトアップをシームレスに実行するISIMの相性は抜群で、変速時の息継ぎを感じさせないうちに車速がかなり伸びていることに驚く。まるでCVTの乗用車のようでさえある。
排気ブレーキの効きは従来と変わらないが、ブレーキペダルを踏んでいくと粛々と自動シフトダウンを行なって再加速/再発進に備え、加減速時でもギクシャクせず、実にテンポよく走ることができる。
クロスレシオ9速DCTは、これまでのスムーサーExとはもはや次元が違うトランスミッションなのだ。
キャブ内にはエンジン音が透過してくるものの、音質にトゲトゲしさはなく、空気の震えもよく抑えられていた。キャブプラットフォームが16年前の設計でも、快適な運転環境のための進化を端々から感じたディーゼル車だった。