連載第4回目となる日産ヘリテージコレクションの名車紹介では、自動車デザインの革命児であり、レトロフューチャーの原点ともいえる日産パイクカーシリーズの第1弾「Be-1」にスポットを当てたい。
文/大音安弘、写真/池之平昌信、日産
【画像ギャラリー】パイクカー第1弾の「日産Be-1」は現在のレトロブームの先駆け的存在として38年前に誕生!(31枚)画像ギャラリー■レトロブームの先駆けに
今、若い世代を中心に、レコードのようなアナログ機械やちょっと懐かしいデザインの「レトロモダン」の商品や施設がブーム。それは自動車でも同様で、ヤングタイマーと呼ばれる懐かしさを感じるクルマたちの活躍にも繋がっている。
そんな今を振り返ること38年前、Be-1は1985年10月26日の東京モーターショーで世界初公開された。当時の日本車は、新技術による高性能化と高機能化が重視され、急激な進化が望まれていた。そんな時代に、シンプルな心地よさを優先した温かみのあるクルマとして提案されたのである。
当時のリリースには、「日産自動車が現在のクルマ社会に対して心の余裕を持つことを提唱するクルマである」とし、デザインテーマを「人間が失ってはならないやすらぎ、安心感」としていた。内外装は市販モデルに非常に近く、その姿は小粋な欧州車を彷彿させた。
■ノスタルジックモダンなBe-1のエクステリアデザイン
ベストカー1985年12月10日号の「東京モーターショー」関連記事では、未来派省エネモデルの1台として、「超現実来な現代の小型大衆車に対するアンチーゼ」として紹介。生産車に反映される新技術の提案は少ないが、クルマ自体がマーチのバリエーションになる可能性がある」と市販化への期待を示していた。
実際に東京モーターショーでの反響の大きさから、日産は市販化を決断したとされる。
待望の市販車の発表は1987年1月13日に。リリースには、「モーターショー展示車を可能なかぎり忠実に再現」したとある。その特徴的なデザインのテーマは、「ノスタルジックモダン」とし、基本的構造こそ初代マーチからの流用であったが、内外装は完全に専用化。
特にボディパネルには、世界初となる鋼板と同時に焼付塗装が可能な熱可塑性樹脂「Fkex Panel」をフェンダー及びフロントとリアに使用し、特徴的なデザインを実現させるだけでなく、耐久性も高めていた。パワートレーンは1L直4OHCエンジンに、5速MTと3速ATが選択可能。
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