どんなクルマにも個性はある。その個性が魅力にもなるのだが、時には強烈すぎる個性を持ったクルマが誕生し、世間にインパクトを与えている。今回はそうした個性派モデル5台を見ていくことにしよう。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱、FavCars.com
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■マツダ オートザムAZ-1
1992年にマツダの販売チャンネルであるオートザムからリリースされたAZ-1は、今でいう“属性テンコ盛り”のクルマだった。カテゴリーは軽スポーツカーとなるAZ-1の特徴は枚挙にいとまがない。
最大の特徴は上方に開くガルウイング式ドア。そして軽自動車では珍しいミドシップエンジンマウントの後輪駆動車というのもポイント。そう、AZ-1は小さなスーパーカーともいえるコンセプトで作られたクルマなのだ。
ポップアップタイプのヘッドライトをはじめとした見た目のインパクトも抜群で、重量バランスに優れた軽量な車体とステアリングの設定などにより、走りのよさも高く評価された。
だが、AZ-1は生まれた時代が少々悪かったかもしれない。AZ-1発売時点で日本国内のバブル景気は終焉を迎え、このような遊び心の強いクルマを受け入れる体力が日本市場には残っていなかった。
隠れた名車ともいわれたAZ-1だが、その販売期間は約3年ときわめて短い。
■トヨタ iQ
2007年のフランクフルトモーターショーで公開されたトヨタのコンセプトモデルは、当時注目が集まっていたマイクロカー。iQコンセプトと呼称されたそのモデルは、思いきったショートホイールベースで人々を驚かせた。
そんなiQコンセプトは、翌年にトヨタ iQとしてトヨタネッツ店から正式に発売されることになった。
iQの特徴はとにかく短いこと。一般的なコンパクトカーのホイールベースが2.5m程度なのに対し、iQのそれは2m。全長も3mを切るという短さだ。なぜiQがここまで思いきったデザインを採用したのかというと、それは都市部での使い勝手を最優先したため。
日本の都市には狭い道が多く、住宅事情も大柄なクルマには向いていない。その点iQのコンパクトさなら、狭い道でもスイスイ走れるし、多くの人が苦手にする縦列駐車もカンタン。
このように革新的なコンパクトサイズを実現したiQだったが、それゆえに犠牲になった部分も多く、特に乗降性の悪さや、コンセプトのわりに高めの価格設定などが弱点として指摘された。
残念ながらiQの販売実績は伸びず、2016年に後継モデルを残すことなくその歴史を終えている。
とはいえ、コンパクトなシティコミューターの需要はまだまだあり、遠くない未来にiQの先進性が見直される日がくるかもしれない。
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