フルモデルチェンジまでの周期が長くなると重要になってくるのが、商品力を保つためのマイナーチェンジ。物価高の今、特に気になるのは改良に伴う値上げだろう。そこで、ここでは2023年9月にマイナーチェンジを受けたトヨタ GR86&スバル BRZを取り上げ、価格相応の改良だったのかを検証する。
※本稿は2023年12月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、トヨタ、SUBARU
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
■GR86の2023年9月改良の評価は!?
2023年9月の改良では、6速MT車に衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能を作動できるアイサイトを標準装着したことが一番の注目点だった。
GR86はスポーツカーだから、販売総数の60%以上を6速MTが占める。したがってアイサイトのニーズも高い。
また横滑り防止装置の制御を見直して走行安定性を向上させたり、電子制御スロットルの改善で、動力性能のコントロール性も向上させた。
これらの変更によって価格も高まった。売れ筋になる上級グレードのRZ(6速MT)は、以前は334万9000円だったが、変更後は347万6000円だ。12万7000円値上げされた。
ちなみにほかのグレードのAT仕様も、原材料費の高騰などを含めて5万円程度の値上げを行った。RZの装備充実に伴う値上げは妥当な金額だ。
GR86の価格はもともと高めで、開発/製造段階のコストアップを吸収しやすい事情もある。
2023年9月改良の主な変更点
・特別仕様車“40th Anniversary Limited”設定
・VSC制御最適化による走行安定性・安全性能向上
・MT車にアイサイトを標準装備など
・マイチェン充実度:★★★★☆
・価格:291万6000~357万4000円
■BRZの2023年9月改良の評価は!?
BRZは基本部分をGR86と共通化したスポーツカーだから、同様の変更を受けた。
6速MTにも衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能のアイサイトが装着されている。横滑り防止装置の制御も見直され、運転感覚と走行安定性を高めた。
またスポーツ性能をさらに向上させたスバルBRZならではのグレードとして、GR86とは異なるSTIスポーツも加えている。BRZとしての個性化を図った。
Sグレードの6速MTの価格は、以前は326万7000円だったが、改良後は348万7000円だ。22万円値上げされている。
そのために以前のBRZ・Sの価格は、GR86・RZよりも安かったが、6速MTにアイサイトを追加した後は、価格の順列が逆転している。BRZ・SがGR86・RZよりも約1万円高くなった。
2023年9月改良の主な変更点
・さらにスポーティな「STIスポーツ」グレードを新設定
・VSC制御最適化による走行安定性・安全性能向上
・MT車にアイサイトを標準装備など
・マイチェン充実度:★★★☆☆
・価格:330万~381万7000円
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