一般的に新車時から10年以上経過したクルマは、中古車として大きく価値が下がるといわれているが、中には20年経っても下がるどころか元値の倍以上の価格で取引されるクルマもある。
今回は1990年代に発売され、価格が2倍以上に膨れ上がったクルマを3台ご紹介しよう。
文:吉川賢一
■最後のスカイラインGT-R(R34)
日産 スカイラインGT-R(R34)は1999年から2002年まで販売されていたスポーツカーで、日本国内のレースでの輝かしい戦歴をはじめ、海外でも爆発的な人気を集めているクルマだ。
海外での人気の理由は、ストリート・レーシングをテーマとしたアメリカのカーアクション映画『ワイルドスピード』に主人公のクルマとして登場した影響が大きい。映画の主人公を演じた故ポール・ウォーカーは大のクルマ好きとして知られ、私生活でもこのスカイラインGT-R(R34)を乗りこなしていたことも、GT-R人気に拍車をかけている。
1999年の販売当初は約500万円~で入手できたクルマだが、その人気は衰えを知らず、限定モデルに関しては、新車価格の倍の1,200万円以上で取引されている。グレードにもよるが、国内より海外のほうが200万円程度高い価格で取引されていることからも、このクルマの海外での人気の高さがうかがえる。
■日本最初のスーパーカー ホンダNSX
1990年から2006年まで販売されていたホンダのスポーツカーNSX。当時では珍しい、世界初となるアルミボディを採用して車体の軽量化を図り、ミッドシップエンジン・リアドライブ形式を採用、国内外のファンから多くの支持を集めたクルマだ。
発売当時は国内市販車の最高額(800万円)で登場したクルマだが、現在は2,000万円以上で取引されている個体もある。主にアメリカのスポーツカーファンからの需要が高まっているという。
ちなみに、2016年に登場した新型NSXは、日本車歴代最高額の2,370万円であるが、年間で100台しか生産されないこのクルマの価値が、どこまで上がっていくのか注目だ。
■あらゆる意味で規格外 スバルインプレッサ22B STI version
わずか400台の限定販売で、1998年に発売されたスバル インプレッサ 22B STI version。500万という高額にもかかわらず、わずか2日間で完売した「幻の名車」だ。
22Bは、WRCで3連覇を達成した「インプレッサ・ワールドラリーカー’97」のロードバージョンで、大型のブリスターフェンダーやアルミ製ボンネット、大型リアスポイラーなどを装着。ボディカラーは、ソニックブルーマイカのみ、エンジンもEJ22改と呼ばれる特別なもので、あわせて駆動系も強化され、組立作業の一部は手作業で行うなど、スバルの強いこだわりで作り込まれたクルマだ。
そのため、販売価格である500万円とほぼ同額の生産コストがかかっているという超お買い得車。スバリストなら喉から手が出るほどにほしいクルマであろう。
すでにこのクルマが国内の中古市場に出回ることはほとんどなく、2016年にはイギリスのオークションで、1,000万円以上の高額で落札された。
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