高齢者による暴走事故が多く発生している。認知能力、判断能力が衰えていくのは仕方のないことだが、それでも死亡事故を起こすのはどうやっても防いでいかなければならない。
免許更新条件を厳しくしてもドライバーの能力は決して向上するものではない。そうなると、事故を起こさないクルマ作りというものを進めなければならない。
安価で事故を起こさないクルマは作れるのだろうか。現代の技術を生かして作れそうなクルマを考えました。
文:国沢光宏/写真:AdobeStock
■90万円で作れる事故を起こさないクルマとは?
一向に減らない高齢者による事故を防ぐには、どんなミスをしても、それをカバーしてくれる安全なクルマを作るのが最も有効だと考えている。
高齢者の免許の条件を厳しくしたって、必ずミスしますから。以下「運転ミスをカバーするクルマ」をイメージしてみました。
当然ながら購入できないほどクルマの価格が高くなったり、今の技術じゃ対応できないことだと意味なし。いろいろ考えてみるに、90万円程度の頒価で実現できそうだ。
現在私のイメージに最も近いのが、ダイハツの『ミライース』である。自動ブレーキなどの検知にステレオカメラを使った『スマートアシスト3』付きの最廉価グレードは消費税抜きで84万円(この手の車両は免税が基本)。
現行モデルも歩行者に対する自動ブレーキや、壁の近くでアクセルとブレーキを踏み間違えた時の飛び出し防止装置などの事故抑止性能は持ってます。ただ歩行者を認識できる速度は50km/h以下。
これだと最高速度を50km/hに制限しなければならない。ということで、自動ブレーキのシステムをモービルアイを使う日産デイズと同等のものにグレードアップしたい。日産のシステムなら速度リミッターを60km/h程度まで上げられる。
病院や買い物など近所への移動手段として使うなら、60km/hまで出せれば充分。自動ブレーキの高機能化による販売価格の上昇は1万〜2万円ですむはず。
ということでベースはデイズと同等の自動ブレーキシステムを持つ軽自動車で、最高速60km/hの速度リミッターを掛ける。
■自動ブレーキは高齢者仕様を開発すべし
ここからが高齢者仕様のミソです。まず自動ブレーキ。
普通のシステムだと、前方に障害物があって自動ブレーキが掛かりそうになっても、アクセルを開ければドライバーの操作が優先になるため、自動ブレーキは稼働しない。
しかし、最高速60km/hなら誤作動したって追突される危険性は減るため、アクセル全開でも自動ブレーキ稼働に変更。
そのうえで、赤信号と一時停止、進入禁止標識を判定し、それに対し自動ブレーキ制御を行うようにします。こういった標識を読むのは今の技術で可能。
スバルのアイサイト3などすでに赤信号を判定しているのだった。自動ブレーキ制御と連動させることなど簡単。
もうひとつ。アクセルとブレーキを踏み間違ったら、アクセルを戻す装置を入れる。簡単なのは強く踏み込むとギアダウン制御を行うキックダウンスイッチの転用だ。ブレーキと間違えて強く踏んだらアクセルを戻す制御にしておけばOK。
これらの機能をすべて盛り込んだミライースを作ったって90万円で収まる。農作業だって、スマートアシスト3付きのハイゼットトラックをベースにすればいいだろう。
今乗っているクルマを下取りし、補助金、任意保険の割引を行い、リース契約にすると毎月の携帯電話料金ほどで乗れると思う。
警察と国交省、経産省で新しい免許制度を立ち上げようとしているが、限定免許で乗れるクルマは上記のようなスペックでいかがか?
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