テントウ虫、ダルマ、クジラ、ハコスカ、ケンメリ、鉄仮面と、クルマに愛称が付けられていた時代があった。
しかし、今の時代、クルマには愛称をあまり付けなくなった。なぜなのだろうか?
その原因を探るとともに、もし現代のクルマに愛称を付けるとしたら、どんな愛称になるのか、大まじめに考えてみた。
文/清水草一
写真/ベストカーWEB編集部
クルマに愛称が付けられるのは人気の証?
思えば、かつてはクルマに愛称が付けられることが多かった。もちろん全部ではなく一部のモデルに限られるが、とにもかくにも車名以外に愛称が付くというのは、それだけ世間がそのクルマに関心を抱いていた証拠だろう。
たとえば、スバル360は「テントウ虫」。これは、ビートルがカブト虫と呼ばれたことから来ているが、カブト虫より断然小さくてかわいらしいけれど、かなり相似形という、実にツボを突いたネーミングだった。
「ダルマクラウン」や「クジラクラウン」は、外観のイメージから付いたもの。「ダルマセリカ」やホンダZの「水中眼鏡」同様だ。
一方、2代目ローレルの「ブタケツ」、言われればちょっとだけブタっぽくも見えるが、「これのどこかブタケツなんだ?」とも言えるし、思えば大変にイマジネーションをかきたてられるネーミングですね。
三菱デボネアの「シーラカンス」は、別にシーラカンスに似ていたわけじゃなく、化石のように古臭いことから晩年に付けられたネーミングでした。エスハチやヨタハチのように、車名を省略したタイプのものもあった。
愛称といえばスカイラインだが現行車の愛称はなし!
スカイラインは日本屈指の人気車だったので、愛称のあるものが多い。3代目は箱型だったので「ハコスカ」。以後「ケンメリ」、「ジャパン」、「ニューマン」と続いた。
7代目はコケたが、それでも一応「セブンス」と呼ばれた。ケンメリからセブンスまでは、CMコピーが由来だ。ニューマンのRSターボ後期モデルは、「鉄仮面」で、コレは例外的に顔の見た目からでした。
8代目は傑作だったが、型式のR32型から「32」と呼ばれ、さらに「33」「34」と数字で区別されてきた。
ちなみに「35」は、スカイラインから独立したGT-Rに限って使われているのが実情。11代目のV35型以降のスカイラインは、世間一般はもちろんのこと、マニアの関心の対象ですらなくなったことがわかる。
思えば、スカイラインの愛称が記号になった頃、つまりバブル絶頂期を境にクルマの愛称が激減し、付いても型式を省略した数字やアルファベットになっている。
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