日に日に登場への期待が高まっているホンダのコンパクトミニバン、新型フリード。元ホンダ社員の小沢コージが新型フリードに注文しておきたいポイントをユーザー側の目線から鋭く指摘する!
文/小沢コージ、写真/ベストカー編集部
■シエンタになくてフリードにある魅力を磨くべし!
前回小沢が書いた記事は現行シエンタにない「キャプテンシート&低床フロアなどの武器を強化せよ」と説いたホンダの稼ぎ頭たるコンパクトミニバン、フリード。2024年に出る新型への期待はますます尽きないが、同時に現行車のセールスデータを調べていてビックリした。
今やモデル末期も末期たる現行2代目フリードだが、直近2024年2月の月販台数は7100台で予想外のランキング7位! 8600台の5位シエンタに迫るどころかその差はたったの1500台。
いかにフリードがファミリー層を中心に高い支持を受け続けているかがわかる。すでに顧客はフリードの魅力を完全に把握している。つくづく次期3代目フリードの失敗は許されない。
ホンダとしてもこれ以上のN-BOX頼りはイヤだろうし、「シエンタになくてフリードにある魅力」を伸しつつ「現行2代目のネガ消し」もやらねばアウトだ。ってなわけで今回はそこを中心に再び期待点を取り上げよう。
■現行で最大のネックとなる燃費性能向上はマスト!
現行フリードの最大のネックはやはり燃費だ。特に象徴たるハイブリッドモデルの燃費は現行シエンタの1.5LトヨタTHSIIがちとハンパない。2年前のフルモデルチェンジでさえ、もともと最良WLTCモード燃費22.8km/Lでフリードに勝っていたのが、さらに1割以上のアップで最良28.8km/L!
ガソリンの1.5Lも40%以上とも言われる最大熱効率を生かして17.0km/L。小沢が広報車のシエンタハイブリッドで御殿場まで往復した時はメーター読みで29.0km/L越えも記録した。
かたや最近のホンダ車は燃費以上に電動感を取るシリーズハイブリッドに舵を切った。その象徴が現行フィットに搭載中の新世代1.5Lのe:HEVだが、コチラは同じシリーズHVの日産にはない高速直結モードがあり、最良30.2km/Lとなかなか。さすがにヤリスハイブリッドの36.0km/Lには及ばないがその差は5km/Lほど。
これをシエンタvs新型フリードに当てはめると予想最良燃費は24.0~25.0km/Lになる。これくらい行けば御の字だろう。
むろん新しいe:HEVは直3化したTHSIIに比べ、直4をキープするだろうし、エンジン効率アップに限界はある。だが新型アコードのスポーツe:HEVが進化し、直結効率を上げたようにシリーズハイブリッドにはシリーズ流の燃費&性能アップ術がある。
同時にe:HEVには「キモチいい電動加速」や「聞かせるエンジンサウンド」などTHSIIでは絶対に得られない魅力もある。滑らかフィールが身上の直4エンジンをはじめ、パワートレーンの魅力はやはりホンダの存在意義だ。新フリードが搭載する新世代1.5L e:HEVの燃費&快楽性能の両取りにはやはり期待したい。
ほかにもシエンタにはない2列目キャプテンシートや跳ね上げ式3列目シートのさらなる性能向上にも期待したい。まず根本的な3列目の前後長、つまり広いヒザ前空間はすでにフリードが勝っている。それを生かしつつ、座面が低いという欠点をなくしていただきたい。
加えて低いラゲッジフロアと2列目左右シート間にハンドルを挟むことでコンパクトミニバンなのに「ラクに自転車を積める」という性能も伸ばして欲しい。これまたシエンタにはない美点だからだ。
細かい点だが3列目シート格納時に少々力が要る欠点もなくして欲しいし、ラゲッジ空間が台形になってしまって無駄な隙間ができてしまうネガもなくしたい。
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