ナイケンGTが4月21日で国内販売終了! このままでは欧州でも絶版か?

ナイケンGTが4月21日で国内販売終了! このままでは欧州でも絶版か?

 前2輪+後1輪を備え、車体がバンクできる新ジャンルのヤマハLMW。その親玉であるナイケンGTが日本での販売を終了することがわかった。ヤマハの渾身作だったが、惜しくも6年で歴史に幕を下ろすことになる。欧州での生産終了はアナウンスされていないが、先行きは不透明だ。

 
 
 

モビルアーマー風! 強烈デザインの3輪バイク

 2024年2月、ヤマハがwebサイト内におけるNIKEN(ナイケン)GTのページで「NIKEN GTは2024年4月21日をもって受注を終了いたします」とアナウンスした。ナイケンGTは従来から受注生産だったが、これをもって国内販売自体が終了になるという。

 ナイケンと言えば、フロント2輪と迫力あるデザインによる外観を持つ独自の存在。トリシティ125、155に続くLMW(リーニング・マルチ・ホイール)の最高峰として2018年にデビューした。コミューターとは異なるスポーツ性を持たせるため、ヤマハの最新技術を注入。2023年型では初のビッグチェンジを実施したばかりだった。

 心臓部にはMT-09譲りの水冷並列3気筒を搭載。フロントフォークが二本差しの刀のように見えることから二剣=NIKENと命名された。前2輪が並行して傾き、バイクと同じ感覚でバンクができる上に、滑りやすい路面でも高い安定感を発揮。片輪だけで段差に対応できるというメリットも併せ持つ。

2023年7月に国内投入された現行型のナイケンGT。2024年4月21日までの受注販売で、これが日本ではラストモデルとなる。運転には大型二輪免許が必要。

ガンダムのモビルアーマー「ザクレロ」を思わせる(?)強烈なフロントビュー。デザイン面でも大きな話題を呼んだ。

 
 
 

欧州ではまだ現役だが、コチラでも生産終了の可能性が!

 生産終了の理由は定かではないが、セールスの不振が原因か。日本での販売計画台数は2020年に200台、2024年には100台に減少していた。

 欧州で販売終了のアナウンスはされていないが、このままでは欧州でも販売終了となってしまう。

 これは排ガス規制の影響で、欧州では2025年1月から次期排ガス規制のEURO5+が全面適用される。現行ナイケンのエンジンは2023年型MT-09がベースで、次期規制に未対応。存続するにはモデルチェンジでエンジンの規制対応が必要だ。

 なお2024年型MT-09はEURO5+に適合済み。欧州の次期ナイケンがこちらを搭載して存続する可能性もあるだろう。

現行型のエンジンは888cc水冷3気筒。2023年型で従来845ccからストロークアップした2023年型の先代MT-09がベースとなった。クランク慣性はMTから8%増加し、スムーズな出力特性に。上下対応のクイックシフターも獲得した。

[ヒストリー]2018年に登場し、あのタレントもPRに起用していた

 ナイケンの素姓と歴史を改めて振り返ってみよう。

 初代ナイケンは2017年秋のミラノショーで発表され、2018年にデビュー。白眉は何と言ってもフロントの2輪機構だ。基本構造としては、独自のパラレログラム(平行四辺形)リンクがカギで、左右上部フォークとそれをつなぐ2本のリンクが左右にスライド可動することによって同時にタイヤをリーンさせている。

 コミューターのトリシティとは違い、バンク角を確保するため片側2本ずつ片持ちフロントフォークが外側に配置しているのも特徴。バンク角はスポーツバイク並みの45度を確保している。

 タイヤの向きを変える操舵機構は、パラレログラムリンクの下にあるタイロッドをハンドル操作で可動させることで行う。これは4輪で使われるアッカーマン構造と基本的な構造は同じだ。

 クルマで一般的なアッカーマンジオメトリは、旋回時にフロント左右操舵輪に内外輪差が生じても、滑らかな旋回性をもたらす構造。しかし、これをバイクに採用し、深くバンクさせた場合、フロント左右タイヤに内外輪差が発生し、ハンドリングに悪影響が出る。そこでヤマハ独自の“LMWアッカーマンジオメトリ”を導入し、スムーズな旋回を実現した。

独自のパラレログラムリンクによって、左右上部フォークと2本のリンクが左右にスライド可動することによって同時にタイヤをリーンさせている。


ナイケンではアッカーマンジオメトリをバイク向けに応用。オフセットジョイントと呼ぶレイアウトによって、深いバンク角でもフロント2輪のそれぞれに軌道のズレが発生しない。[/caption]

1名乗車時の前後重量配分は約50:50。スペース効率に優れたステアリング機構との相乗効果で、スポーツバイクに匹敵する45度のバンク角を実現している。

国内デビュー時の2018年に俳優の斎藤工氏や、ホスト界の帝王と言われるROLAND氏(写真)を起用したことでも話題に。ROLAND氏は「俺、しりとりで最後終わるならナイケンで終わりたい」との名(迷)言も。

 2019年型でツーリング性能を高めたナイケンGTを追加。そして2023年型で初のビッグチェンジを敢行し、国内では同7月に発売された。

 新型は3気筒エンジンを888ccに拡大。メインフレームやリヤショックを改良したほか、70mmの高さ調整が可能になったスクリーン、新型シートを採用した。メーターは7インチのカラー液晶となり、スマホとの連動機能も装備している。

 日本国内ではSTD仕様が2020年型でラストとなり、GTのみの販売に。欧州でも2023年型でGTのみのラインナップとなっている。

2019年にツアラー仕様のナイケンGTを追加。大型ハイスクリーンやグリップウォーマー、厚みを増した専用シートなどで旅の快適性を高めた。

2023年型は、大型で見やすい7インチTFTメーターを導入。同社とガーミン社が共同開発したナビアプリ(有料)をインストールすれば、メーター画面にナビを映し出せる。

受注期限は間もなく! 気になっていた人は実物を要チェック

 欧州での動向は不明だが、日本でナイケンを新車で購入できるのはこれがラスト。

 3輪の新感覚スポーツだけに、気になっていたけど購入にまで至らなかった人も多いハズだ。しかし、新車で購入できる期限が間近に迫っている。受注できるのはナイケンGT取扱店に限られるが、近くに展示車や試乗車があるなら足を運び、その目で実物を確かめてみてはどうだろうか。これほど独特なバイクは今後現れないかもしれない。

ナイケンGT(国内仕様)主要諸元

・全長×全幅×全高:2150 × 875 × 1395mm 
・ホイールベース:1510mm
・シート高:825mm
・車重:270kg
・エンジン:水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ 888cc
・最高出力:116PS/10000rpm
・最大トルク:9.3kg-m/7000rpm
・燃料タンク容量:18L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70R15、R=190/55R17
・価格:220万円

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/369315/

ナイケンGTが4月21日で国内販売終了! このままでは欧州でも絶版か?
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=369315

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