日産の高級クロスオーバーSUVとして長年君臨していたムラーノはとにかくすごかった。快適装備は勿論のこと、今では数多くの車両に付いているパワーバックドアを一早く採用、さらにはALL MODE 4X4-iの採用と、日産が力を込めて作ったのが肌で分かる。今回はそんなムラーノをご紹介しよう。
文:西川昇吾/写真:日産
■ムラーノってどんなクルマなん?
ムラーノは日本市場に2004年9月に登場した。現在の日産SUVのイメージリーダーと言えばエクストレイルであるが、ムラーノはエクストレイルよりも上級モデルとして位置していた。
当時の日産にはなかった高級クロスオーバーSUVとしてのポジションを埋める存在であったと言える。他メーカーで言えば、ハリアーにそのイメージは近いだろうか。
元々ムラーノはアメリカ市場で2002年12月から発売されたモデルであった。2003年の東京モーターショーでの参考出品で日本市場からの関心が高まり、満を持して日本市場での販売を開始した。
SUVの新たなデザインの可能性と、高い機能性及び快適性を目指したムラーノ。登場当時も、その斬新なデザインと高いドライビングパフォーマンス、そしてプレミアムさをアピールしていた。
それはパワートレインにも表れていて、上級グレードは3.5LのV6エンジンであるVQ35DEを搭載し、6段マニュアルモード付CVT「エストロニックCVT-M6」と組み合わせて、スポーティな乗り味を実現していたのだ。
■パワーバックドアの先駆け? を搭載した2代目
そして2代目も登場。先代モデルと同じくその初登場はアメリカであった。2007年のロサンゼルスオートショーで登場し、日本市場では2008年9月に販売を開始した。元々アメリカ市場で販売されていたこともあったが、初代のモデルライフは4年と短いスパンになった。
デザイン上で大きく変更になったのはフロントフェイスだ。4連プロジェクターデザインのヘッドライトが特徴的で、ワイドかつ先進的な印象のする顔つきとなった。
また、インテリアは各所にソフトパッドを採用したトリム類で、更なる高級感を演出。直接風が当たらないマイルドフローエアコンといった最新の快適装備、そしてステアリング横のスイッチもしくはリモコンキーによって電動開閉が可能なリモコンオートバックドアもオプションで用意された。
これは今でいうパワーバックドアの先駆けのような装備だが、そんな装備が2008年当時から用意されていたあたりに、ムラーノへの日産のやる気を感じる。
エンジンラインアップに変更は無かったが、ALL MODE 4X4-iの採用や新開発サスペンションの採用、グレードの高い超ハイテン材を採用することなどによるボディ剛性の向上など、高級SUVに相応しい上質な乗り心地と高い走行性能を実現するような進化も多く見られた。
■Vモーショングリルのようなヘッドライトがカッコいい3代目
3代目は2014年のニューヨークモーターショーで公開されたが、日本への導入は残念ながらされなかった。VモーショングリルとZ34を思わせるブーメラン型のヘッドライトは現行の日産車らしい先進性を感じさせるデザイン。またトレンドのSUVクーペを思わせるルーフデザインもスタイリッシュだ。
しかし、ボディサイズは4887 mm×1915 mm×1720 mm(全長×全幅×全高)とかなり大柄になった。少し日本でも乗り辛いと思ってしまうサイズ感だ。この辺りが日本導入を取りやめた理由だろうか?ただ、根強いファンはいるようで、インパルでは並行輸入として販売している。
アメリカ市場ではそろそろ4代目の噂も出始めているムラーノ。今度のフルモデルチェンジで国内復活もあるのか注目したい。
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