人気あるクルマたちの中には、人の心を深く打つモデルが存在する。クルマそのものが辿ってきた道だったり、メーカーの姿勢そのもの(マツダのデザインに対する執念とすら呼べるようなものだったり、先日のスカイラインの発表会で編集者が感じたようなことも、それに当てはまるだろう)が感じられたりするからなのだろう。
で、日本人の心を打つのはやっぱり国産メーカー(のはず)なのだが、時折日本車以上に日本人の心を穿つ輸入車もでてきたりするのだ。
日本で人気の売れる輸入車たちは、どこが日本人の心を打つのか? 自動車評論家の岡本幸一郎氏に話を聞いてみた。
※本稿は2019年8月のものです
文:岡本幸一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年9月10日号
●(画像ギャラリー)輸入車なのに日本人を魅了するメーカー・クルマたち
■輸入車なのに日本人を魅了する その秘密
日本でドイツ勢がもてはやされるのは、日本人が重視するブランド力や信頼性があり、人に「欲しい!」と思わせるだけの力を持っているから。ただし北米や中国など、世界中で売れているから、別に日本だけ特別なわけじゃない。
日本が特別なのはMINIだ。ほかの国ではさほど売れていないのに、日本ではこのところ月販平均2000台超のペースと、ヘタな日本車よりよっぽど売れてる。
それはやはりMINIならではの個性によるところが大きいが、その魅力をさらに引き出したのはBMWの力。
技術的な面はもとより、日本では実用性が求められる傾向が高いことを受けてバリエーションを拡充し、それぞれ販売比率が全体の約2~3割ずつまんべんなく売れているのは、商品戦略が上手くいっているからにほかならない。
非ドイツ系ではボルボが好調だ。エレガントな雰囲気を漂わせながらも、日本人好みのちょっと控えめなところも人気の秘訣に違いない。日本でも人気の高い北欧家具のようなインテリアに惹かれる人も続出中という。
そしてボルボといえば「安全」だが、その期待にもしっかり応えていて、ドイツ勢に比べて価格に割安感があることも強み。あえてドイツ車よりもボルボを選ぶ「理由」がいくつもある。
さらに、独自の路線で人気を博しているのがジープだ。本格的オフローダーが減るなかで、ジープの存在感はますます際立つ。そのイメージに引っ張られてレネゲードのようなライトなモデルも人気を博している。
ほかに非ドイツ系は、ランドローバー、アバルト、アルファロメオあたりがけっこう元気に見えるのも、強い個性を持っているから。
一方でアメリカ車やフランス車があまりそう見えないのは、もっと初歩的な部分でつまずいている気がする。
【番外コラム】逆説、日本車なのにあまり「ニッポン」を感じさせないクルマ
(TEXT/編集部)
日本車ならば、いたるところからニッポンを感じさせてしかるべきなのだが、最近のモデルには「ニッポン臭」が希薄なクルマも散見される。
筆頭はスープラだ。BMWとの協業ということでしかたない部分もあるが、シフトレバーなんかは、もろBMW。ウインカーレバーも左手で操作するなど、雰囲気は日本車というか右ハンドルの輸入車だ。
そのほか昨今のマツダ車も微妙。なんせ車名からしてグローバル化が進んでいる。乗り味に関してはディーゼル以外、強烈に個性的というほどではないので、そこらへんはある種、日本的といえるかも。
ちなみに海外生産されたからといって「ニッポンらしくない」とはならない。現行シビックタイプRは英国生産だが、なんというか浪花節的価値観がプンプン感じられる。
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